手紙をくわえさせたフォークスの尾羽が
雪化粧した山脈を越えて行く
見送りつつも
はて、客人はまだか
と時計に目をやり、茶菓子を出す

秒針が約束の時間を指したちょうどその時、
ノックと同時にドアが開き、彼女が現れた

「こんちは、ダンブルドア
あぁ、ここホント暖かいよねぇ
暖炉がいらないわけだ」

和気あいあいと話しかけてくるwhoは
暗にこの部屋に暖炉がないことを非難する
ホグワーツで唯一暖炉のあるミルネバの部屋まで
煙突飛行でやって来て、煤が落ちると叱られたのだろう

「ホッホッホ、招かれざる客人のお相手をするには
少々年をとりすぎたでな」

「ミルネバはまだお若いって訳だね。気の毒に」

椅子を勧めるとニヤッと笑い、パッチワークキルトのカバーがついた椅子にかけた
彼女は常にそこに座る
口に出して確認したことは無いが、
さり気なくこだわりが強い

「それで?何があったの?」
のコートを椅子にかけながら彼女が言った

「ほっほっほ、そう急ぐでない
今日はいろいろと話たいことがあるんじゃ」
ちらりと目線をおくると
彼女はゲッと警戒するような表情を浮かべた

「ヤダなー、ワタシここしばらく忙しいんだよ
ほら、ショーが近づいてるし」

「そうじゃな、あと1ヶ月ほどかの?
今回は特に大がかりな規模じゃと聞いたが」

「そうそう、もうホントまいっちゃうよね
10年ごとにやってるコレクションだけど
クリスが張り切ってんだもん
新作だけで50着だよ
だから、
昔作ったのから
ちょっとひっぱり出してこようとしたら
むちゃくちゃ怒られたわ
リアルに涙がちょちょぎれそうなレベルで」

「それほど、仕事に意欲的な気分と言う訳でもなさそうじゃな。だからかの?彼に接触を謀るのは?
言うたはずじゃ。彼に近寄るでない。ろくなことにならぬと。」

whoはカップの取手を親指で撫でつつしばらく目を泳がせた

「あぁ…うん、まぁそうだね。
うん…つかみは良かったのになあ。
ナンデだろ?
あちらさんのやりたい事がだんだん分からんようになっている次第なのです。」

「…それにしては反省しとらんようじゃが?」

「いや、距離を近づけたのは間違ってないさ、
知って負けるより、知らずに畏れることのほうがずっと愚かだもの」

彼女は打って変わって淡々と言葉を紡いだ
時間と経験が織り込まれたそれに、ため息をつくはめになる

「ではどうするつもりじゃ。
あやつがこれからなそうとする事にwhoを巻き込もうとするのは時間の問題。
あなたが喜んで加担するとは思えぬが、心を読み間違えれば、惨事はより大きくなろうからのう。」

「…まだまだ青いね、ダンブルドア。
できるできない以前に、ワタシの心を読もうなんて心構え自体大間違いだよ。
たかが100年生きたくらいで自分を買いかぶってると、成長止まっちゃうよ。」

「ほほう、たかが100年、されど100年じゃのう
わしも、面と向かってあなたに叱られるところまで来たというわけじゃ。」

「…そのワケワカメで少々変態チックなボジティブ
思考をどうにか矯正すべきだったと後悔してる」

「褒め言葉と受け取るのが良かろうの。
話を戻すとしようぞ、ただもし、あなたがわしのスパイとして働くことが接近の目的だったならば、話は別じゃが?」

「ご冗談はよしこさーん。」

「…あぁ、それからアニルのことも話しておかねばなるまいの?」

思い当たることがないとばかりに小首をかしげるwhoの指先。
かすかに緊張が走るのを見逃すはずもなく、
心地よい優越感が体をくすぐった。


Colluson,or battle
(馴れ合い、あるいは攻防)




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