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飲み会の後どんな顔してんのか軽く調べたから間違いない。この女はハナレが言ってた奴だ。
「…ハナレんとこの敏腕か」
俺がそういうとそいつは「敏…」と言って驚いたように言葉を詰まらせた。その後カッチカチに固まった声で「今は未事業室におります」と言葉を発した。
へぇ、今はあのヒノトんとこにいる訳か。そりゃ面白い。異動があったことは知っていたがまさかこの女だったとはね。手を離さず改めてじっとその女を見ていると女は気まずそうに俺の名を呼んだ。
「コトカ、だったっけ?名前」
「え?はい、そうですけど…」
「ヒノトにはもう手、出された?」
その言葉で一瞬にして眉間にシワが寄る。案外素直な反応返すんだな。他部署だが上司相手にそこまで嫌そうな顔を出来る奴は珍しい。てっきりポーカーフェイスで乗り切るもんだと思ってた。それにこの態度からしてまだ手は出されてないみたいだな。ま、ヒノトが手癖が悪いってのは知ってはいるみたいだけど。
「ははっ、そんな顔すんなよ。冗談だよ、ジョーダン」
掴んでいた手を離すと少しだけ距離を取られた。どうやら警戒心は強いらしい。それに男とか女とかで比べられんのが嫌そうだ。気の強い女。ますます面白い。からかいがいがある。
「…イヌイ室長、失礼ですが冗談もほどほどにしてください」
「ああ、悪かった」
「本当に反省してますか?」と言わんばかりの顔。言葉にはしなくてもしっかりと顔に出てる。
出会い頭に会ったとはいえ、話に聞いていた真面目な部分以外の一面を見れた。もっと話していればもっと面白くなりそうだが時間がそれを許してはくれなそうだ。
「コトカ、お詫びにこれやるよ」
「え?」
「目、疲れてんだろ。ケアしっかりしねぇと後々もっとしんどくなるぞ」
ポケットに入れてあったおろしたての目薬をコトカに渡すときょとんとした顔をされた。
「まだ使ってねぇやつだから安心して使っていい」
「でも、イヌイ室長がお困りになるのでは…」
「室長室に予備がある。それに言っただろ、お詫びにって」
中々強情だ。そんなコトカに渡した目薬をしっかりと握らすように手を重ねるとコトカの肩がぴくっと動いた。
「じゃあな、コトカ」
軽く手を振りコトカの横を通り抜けると「ぶつかってしまい申し訳ありませんでした。目薬、ありがとうございます」と律義に謝罪とお礼を言ったコトカにふと口元が緩んだ。
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