降り止まぬ雨に全てを流して

Reborn


蓮を連れて、オレ達は六人組は渋谷駅近くのハンバーガーショップへ足を運んでいた。
丁度、お昼時だった為か、店はまあまあ人で混んで居た。
其々がハンバーガーメニューセットを頼み、お金を払っている中、あたり手持ちがなかったオレは帰りの電車賃の事も考えて、メニューの中で一番安い値段であるSサイズのポテトを単品で頼んだ。
「んだよ。タケミチ、ポテトだけかよ」
「しかもS!」
「いや、帰りの電車賃がさ……」
「んなもん、どうとでもなるって」
Sサイズのポテトしか頼んでないオレへ不満を言う山岸達をスルーしながら、オレはポテトを一口齧る。
「それにしても、タケミチ。お前、この子とどう言う関係なんだ?」
「え?」
オレの斜め前で、ハンバーガー食べている蓮の姿を見詰めながら、あっくんがオレと蓮の関係性を聞いてくる。
「そうだぜ、タケミチ。こんな、とびっきり美少女とどう言う関係だ!」
「どうやって、知り合ったのかも教えろよ!」
「えっーと」
言えねぇ。オレと蓮の関係性が遠い子孫と先祖の関係なんてあっくん達に言えねぇ。
あっくん達に蓮との関係性をどう伝えようかと、オレが回答を詰まらせて居た時、ハンバーガーを食べていた筈の蓮が静かに、トントンとメモ帳をペンで叩いた。
「タケミチとは唯のイトコ同士の関係」
「んだよ。唯のイトコ同士かよ」
「なんで、筆談? でも、まあ。そうだよな。タケミチに限って、こんな可愛い子が彼女になるなんて有り得ねーよな」
オレと蓮の関係性を知るや否や、オレを貶し始める山岸とマコト。
「ふぅん。従兄弟ね。蓮ちゃんだっけ? オレ、千堂敦。よろしくな」
「はいはい! オレ、鈴木マコト! 絶賛彼女募集中です!」
「オ、オレは山岸一司! 貴女に一目惚れしました!」
「蓮、よろしく」
あっくんを筆頭に自己紹介し始める三人。
若干一名、蓮へ告白紛いな事してるけど、此処は聞かなかった事にした。でないと嫉妬で山岸を殴りそうだ。
しつこく絡んでいるバカ二人組に対して、無表情ながらも何処か困惑している様子を見せる蓮の姿を可愛いなぁと思いながら見詰めていると、あっくんが「あっ」突然何かを思い出したような口調で話し始めた。
「イトコと言えばさ、タケミチ。お前のイトコが渋谷山中のアタマでよかったよ」
「ん?」
「3年が出っ張ってきたら、マサル君の名前出せばいーもんな!」
「ほ?」
あっくんとオレの話を聞いていたのか、蓮へ絡んで居た筈の山岸が笑顔を浮かべながら、何処か聞き覚えのある名前を口にした。