降り止まぬ雨に全てを流して

第一章


紙に書かれた番号を頼りに部屋を探しながら、廊下を歩いていると廊下の隅にひっそりと隠れた様にある部屋を見付けた。
 
「……」

 扉には「入ったら殺す」や「立ち入り禁止」と沢山の張り紙が貼り付けられていた。私は、紙に書かれた番号と扉に書かれた番号を交互に見詰めながら、部屋に入るのを迷っていた。

「……」

 扉の前を行き来しながら、さてどうするかと考える。この部屋、立ち入り禁止って書いてあるし。一旦、あの部屋へ戻ってエヴァンが帰って来るのを待って、帰って来てからもう一度この部屋へ来ようと踵を返した時、扉が歪な音を立てて開いた。

「あのさ、さっきから凄い気が散るんだけど。部屋に入るんだったら早く入りな……」
「……」

 扉から顔を出す見覚えのあるムンクの様な仮面をつけた全身黒ずくめの男が立っていた。

「……ジェド」

 ジェドと呼ばれた男は、蓮の姿を視界に入れるなや否や。彼女の腕を掴むと、半端強引に彼女を部屋の中へと連れ込んだ。

「どうして、君が此処に居るの?」

 部屋へ連れ込んだ彼女を腕の中で強く強く抱き締めながら、先程の冷淡な声音では無く、甘く蕩ける様な優しい声音で話すジェドを抱き締め返しながら「内緒」告げる。

「君は、何時だって僕に隠し事ばかりする……あの時だって、何も告げづに僕の元から勝手に去るし」
「……ごめん」
「良いよ。君とこうしてまた再会出来ただけでも嬉しいし」

 抱き締めて居た手を離して、私の頬を両手で優しく包み込み、マスク越しでは有りながらもリップ音を鳴らしながら、顔全体の至る所へ、惜しまなくキスを落とす。