降り止まぬ雨に全てを流して



秘匿死刑






恵seid

術式を構えたまま、目の前の自分を見詰める。
そんな俺を虎杖は。
「いや、なんともねーって。それより、俺も伏黒もボロボロじゃん。早く病院行こうぜ」
虎杖の身体に浮かび上がっていた筈の紋様が静かな音を立てて消えていく。
だが、俺は決して警戒心を止める事を辞めなかった。
こっちは、今喋ってんのが虎杖か呪物かも分かんねーんだよ……!!
内心、頭の傷の痛さで回らない思考に苛つきながらも、目の前の虎杖自身を睨み付ける。
「蓮さんっ」
「ん? 蓮さん?」
虎杖の腕の中で抱えられていた蓮さんが、突如気を失ったかの様に虎杖の腕の中で眠りに着いた。
腕の中で眠っている蓮さんを虎杖は揺さぶり起こすが、全くと言って良いほど、起きる様子を見せない蓮さんを見て、俺は情け無い声で彼女の名前を呼ぶ事しか出来なかった。
早く、虎杖から蓮さんを取り返さなければ___。そう思った瞬間。見覚えのある人物が背後から現れた。
「今、どういう状況?」
「なっ。五条先生!どうして、ここに」
「や。来る気なかったんだけどさ。さすがに、特級呪物が行方不明となると上が五月蝿くてね。後、蓮も帰ってこないから。心配でね。観光がてら、はせ参じたってわけ」
背後から突如現れた目隠しの男……俺の担任である、五条先生は自分のボロボロの姿を見ると、「いやー。ボロボロだね。二年の皆に見せよーっと」そう言いながら、スマホを取り出して俺のボロボロの姿を写真に収めては笑っている。流石の俺も今回ばかりは本気で殺意が湧く。
「で、見つかった? 其れと蓮はどこ?」
「……」
いつも通りの気楽な感じで呪物のありかを聞いてくる五条先生と俺の話を聞いていたのか、虎杖が恐る恐る挙手をした。
「あのー。ごめん。俺、それ食べちゃった」
「マジ?」
『マジ』
二度聞き返した五条先生に、俺と虎杖の声が二人同時に重なり合った。 

虎杖seid

特級呪物?とか言う物を飲み込んだ俺を、目隠しした怪しい姿の人が、俺の方へ顔を近付けてくる。
この人、目隠ししてるけど……ちゃんと見えてるのかな? 危なくない? 場違いな事を考える俺を目の前の……ええっと。確か伏黒が五条先生と言ってた人が、静かに笑う。
「ははっ。本当だ。混じってるよ。ウケる」
「身体に以上は?」
「特に……」
「宿儺と代われるかい?」
「スクナ?」
「君が喰った呪いだよ」
''後、蓮を返してね''と、俺の腕の中で眠ってる蓮さんを起こさない様、五条先生?は蓮さんを抱き上げた。
「あぁ。うん。多分できるけど」
「じゃあ、10秒だ。10秒経ったら戻っておいで」 
「でも……」
「大丈夫。僕最強だから」
不安気な俺を他所に、五条先生?はニッと余裕そうに笑い、自分が最強である事を告げる。
「恵。蓮とこれ持ってて。」
抱えていた筈の蓮さんを、ゆっくり伏黒の元へ渡すと、ついでに五条先生?が持っていた紙袋も伏黒へ渡していた。



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