降り止まぬ雨に全てを流して



04






亡くなった爺ちゃんの死顔は、とても穏やかな表情をして居た。
人って、簡単に死ぬんだな。
初めて身近な人の死を目の当たりにした、俺は静かにそう思った。
「なあ……爺ちゃん。最後に会いたかった人って誰だったんだよ」
爺ちゃんに聞いてみても、もう答えは爺ちゃんからは返ってこない。
その人に合わせてあげれば良かったな。
爺ちゃんが最期を思うぐらい大切な人だったんだろう。
そう思いながら、俺は看護婦さんの手で霊安室へと運ばれて行く爺ちゃんの姿を何時迄も眺めていた。

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爺ちゃんの遺体が霊安室に運ばれ、病室で一人きりになった俺は、病室にあった祖父の衣服なや遺品類などを鞄に詰め込んでいた。
時間が経つに連れて、一通り爺ちゃんの衣服や遺品類などを鞄へ詰め込み終えた俺は、自分のリュックと爺ちゃんの荷物を抱えて病室を離れた。
その後、俺は病院の受付で看護婦さんに渡された死亡届けなどの書類を受付で書いていた。
「うん。必要な書類はこれで全部」
「ウッス。お世話になりました」
「本当に大丈夫?」
「そーっスネ。こういうの初めてなんで、まだ実感湧かないかな……。でも、いつまでもメソメソしてっと、爺ちゃんにキレられるし。後は笑ってこんがり焼きます」
「言い方……!」
涙で瞼を晴らしたまま、笑って言い退けた俺を看護婦さんは呆れ気味な表情を浮かべながらも優しく微笑んだ。


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