平和に行きましょう。
ねた
ネタ
鬼殺隊に助けられて入隊するまで鍛えられてた悲鳴嶼さんと、やべぇ師範と、全く喋らない弟子
悲鳴嶼さん
恐らく人間(子ども)不信真っ只中。言葉は通じるのに話があんまり通じない師匠に扱かれている未来の最強さん
喋らないのに音もなくあっちゃこっちゃ動き回るななしが薄気味悪い。心開く可能性はあるけどお互いかなり難易度が高い
お弟子ちゃん
推定年齢12歳のバリバリ子供。名前は師匠しか今の所交流がない上「小娘」としか呼ばれなかったが、悲鳴嶼さんに憐れまれて「ななし」と呼ばれるようになった。嬉しいけどあんまり好かれてないのは分かってる
お師匠さま
お館様から「素質はあるので鍛えてあげてほしい」と頼まれたので、坊主に十全な鍛錬と飯と寝床を与えるべくアップし始めた滅殺RTAおじさん。元岩柱
保護者としては壊滅的。師範としては優秀。柱としては超優秀。大いに人格に問題あり
名無しの目の前に、頭に包帯を巻いた痩せ細った男がいた。どちらかというとまだ青年らしくもあるのだが、名無しは記憶を失くしてこの方2年、鬼を除けば師匠以外の人間を見たことがない。ただ、漠然と若いなぁと思った。そして、同時にどうしてこんな人がここにいるのか疑問にも思った。
青年と名無しは互いに向き合うように座らされていた。盲いている者と無声の子ども。それを睥睨するかのように、名無しの師匠は上座にて座っていた。
「まずは小娘、貴様に説明する」
嗄れた声は低く、圧がある。普段付き合いのない者なら不機嫌極まりなく感じるかもしれないが、これが平常運転だ。
「目の前にいるのは今日より私の弟子となる男だ。お館様より最終選別までこの屋敷で鍛錬させるよう仰せつかった」
ぺち、と手を打つ。声は出ないし、首を振るだけでは分からんと言われて以来、名無しは柏手1回を「はい」、2回を「分からない」、3回で「いいえ」とするようにした。
「次に小僧、貴様の前方にいるのはこの屋敷にいる小娘だ。声が出ない故柏手で返事をするか、貴様の場合は掌か背中でも使って筆談せよ」
す、といつの間にか背後にある気配にまたかと嘆息する。この広い屋敷には悲鳴嶼と師範、そして座敷童子……でなく師範の養い子の3人しかいない。今後ろにいるのは養い子だ。
「何か用か」
声の出ない娘が、すすすと寄ってきて背に指先をくっ付けた。背中やら掌を半紙代わりに扱われるのにも慣れてきた。
『師匠 が 今日 の 夕方 から 一週間 いなくなります』
「初耳だが」
『わたし も 今さっき 聞きました』
師範の唐突さは今に始まったことではない。夜明けと共に叩き起されて鍛錬もあれば、突如山に連れ出されて半月ほど野趣あふれる体験をさせられることもある。名無しは時々逃走しては猛った師範と人間でない速度で追いかけっこをしていなくなるが、撒かれて帰ってきた師範は何故か上機嫌で悲鳴嶼の指導をしに来る。ちなみにそういう時名無しは夕飯時にはいつの間にかひょっこり戻ってきて何食わぬ顔で卓を囲んでいたりする。やっぱり座敷童子かもしれない。
『いない間 2人で 屋敷のこと するように と 言われました』
「そうか」
『でも たんれん 休んだら 川に しずめる と』
「あれには名前がある」
虫も寝静まる夜半の庭に、嗄れた師範の声がぽつりと零れた。鍛錬が関われば耳が痛くなる程よく喋る男だが、しかし世話話や無駄口とはとんと縁のない寡黙な性格とも知っている。だから、悲鳴嶼はそれなりに驚いた。
「あれは剣聖に至る玉。私の全てを教えこみ、いずれは悠々と超えて先に至る最強の剣士になる者だ。貴様とはそもそも目指す先が異なる」
「それ以外の道はないと」
「ない。だというのに、近頃小娘の太刀筋がブレた。迷いの証拠だ」
初めて会話が成立している。そして、射殺すような視線が向けられていた。側頭部をチリチリと焦がすような、熱の篭った目だ。
「欲が出るようになった。あの人形同然に唯唯諾諾と私に付き従ってきたあの小娘が、私への反抗を覚えたのだ。分かるか小僧、私があれを育ててきた12年にして初めて、変化が訪れたこの意味を」
「……師範は喜ばれているのですか、あの子の変化を」
「違うわ!!嬉しくなどないわ!自分であれそれ考えるようになってサボることも力を抜くこと覚えて笑うようになったり声も出せるようになったことなど何も嬉しくない!!」
「貴方がそのように多くを見ていたからこそ、名無しも」
「喧しい!!あれの名前は蒼枯だ!!ええいむかっ腹が立ってきよったわ手合わせせい!!」
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