平和に行きましょう。

あぜがみDCパロ


砦上暦ちゃん
キメツ学園高等部1年かぼす組。帰宅部
事故で身寄りがなくなり、悲鳴嶼さんに引き取られて一緒に暮らしている。物凄く無口で並大抵のことでは動じないので「不動明王」と呼ばれている
喋るか喋らないかは気分なので、時々凄く普通に喋って周りを驚愕させる

悲鳴嶼さん
公民教えてる先生。暦ちゃんの保護者してる。物凄く無口な暦ちゃんと無言のまま会話が成立してしまうから、周りはよく置いていかれる
暦ちゃんがかなりの気分屋なのは知っているので、何をしでかしてもあんまり驚かない

目の前で殺人事件起きても強盗事件起きても全く意に介さない暦ちゃんと、大人しく官憲に任せて普通に帰りたい悲鳴嶼さんの盛大に何も起こさせないハートフルストーリー



 引っくり返した通学鞄から、ぽろりと豆電池のような黒い物体が転がった。それは1度床に跳ねて転がり、勢いを失ってから倒れた。
「…………」
「…………」
 暦は普通に何事か把握出来ずに首を傾げ、悲鳴嶼は心当たりがあるのか一層顔を険しくしながら、そっと黒い物体を摘み上げる。アンテナのついたそれは、超小型の盗聴器であった。
 わぁ、初めて見た。
 無邪気に男と女の修羅場をそのままテレビ番組にしたドキュメンタリーだったり、犯罪再現番組だったりで見たそれにちょっとした好奇心が湧いたが、目の前の保護者を見て一瞬で萎えた。
「今すぐ、アルミホイルを持ってきなさい」
 怒気を圧搾した声と青筋の立った顔に、自分に向けられた訳では無い暦だって迅速に対応する。すぐ後ろの扉からキッチンに入り、戸棚に閉まっていたアルミホイルを適当に毟りとる。そのまま待機していた悲鳴嶼へ渡すと、手のひらに広げたアルミホイルの上に盗聴器を落とし、そのままメキャア!と言わんばかりに拳で圧縮した。確かにアルミホイルで遮断するには気密性が大切とか伊黒先生から教わったが、にしたってそれでは壊れるのではないだろうか。
「壊れても問題はない。原型さえ留めていれば、それでいい」
 それは原型留めないレベルでの圧縮も出来るという意思表示だろうか。
「良いか、暦。明日から暫く私と登下校しなさい。少々遅くなるかもしれんが、放課後は迎えに来るまで校内で過ごしなさい」
「はい、分かりました」
 ここで負担になるし、と遠慮したら叱られるのはとうに分かっているので素直に頷いた。犯人の頭蓋骨を盗聴器と同じ末路に至らせるのは流石に良心がアレなので、真っ当に警察に連絡して、真っ当に捕まって欲しいと切に願った。


 近頃ポアロには、ちょっとした有名人がやって来るようになった。
 女子高生にして和楽器奏者として教育賞を受賞し、それを見た海外の有名アーティストと動画配信サイトで異文化セッションをして、ネット上で一躍有名人となった少女だ。とはいえ新聞やニュースを見ていないとあまり知る機会のない分野であるので、実際に生での知名度があるかというとそうでもないのだが。しかし安室が密かに知り、最近気に入っているアーティストであるので、彼女が来る度ちょっとした優越感と高揚が湧いてくる。
「ホットココアを」
 今日も学校帰りであろう制服姿で来店した少女は、席に着くと一言だけ注文して、それ以来ちらりともこちらを見ない。だがそれが奥ゆかしい。

「最近ちょっとつれないなぁって思ったらここに来ていたんですね。ねぇねぇ、暦さん。最近素っ気なくて悲しかったんですよ?」
「………………」
「そんな顔しても許してあげません。私は悲鳴嶼先生じゃないから、あなたの言いたい事なんて全然分からないので汲み取ってあげませんよ」
「………………」
「うふふふふ」
 つんのこ、と頬に指が突き刺さる。凄い楽しそうだな、この子。それに対して暦さんの顔といったら洗濯間近の猫のような有様だ。



 放課後に悲鳴嶼を待つ為に、すぐ帰宅せず校舎に残ることになっても特に暇ということはない。中高一貫は建てではない校舎には相応に広大な図書館があるし、暦は響凱先生率いる和楽器バンドに所属しているので音楽室に行けば何かしらやる事は生まれる。特に最近は海外アーティストに目を付けられて動画配信することになったり何かと色々あったから、響凱先生からは和楽器を広める期待の新星として歓迎されている。
 そんな風なので、悲鳴嶼と合流して帰宅するまでの時間は中々充実するものではあった。普段1人でする買い物も2人いれば非常に楽。特に米を買い溜め出来るのは素晴らしい。なんせ悲鳴嶼は大食漢とは言わずとも体格に見合ってかなり食べるから、そこそこの頻度で5キロの米を買い足していた。
「楽しそうだな」
 帰り道にそう言われて、そういえば今は不審者がいるから一緒に帰っているのだった、と我に返る。そうだ、暦は浮き足立っていたが、悲鳴嶼にとっては今もあまり油断出来ない状況なのだ。
 不謹慎だった、と肩を落とすと「そうじゃない」と否定される。取り繕ったような、慌てた言い方では無かったので顔を上げた。目を合わせれば、若干考えあぐねるような表情の後に、ゆっくりと尋ねられる。
「お前は、私と一緒に買い物をして帰るだけで楽しいのか」
「楽しい」
 当たり前の様に即答した暦を見て、きょとんとした悲鳴嶼へもう一度繰り返す。
「ものすごく楽しい」
 大事な事なので2回言った。
「………暦。お前は普通に友達と寄り道したり、好きに放課後を遊び回ったりする自由がある。私がお前の登下校を管理するのも、嫌と突っぱねることもできる」
「そんなの自由よりも、あなたと一緒がいい」


悲鳴嶼さんの響きから「姫島かぁ。可愛い苗字の人なんだな」と勘違いする安室さん。そして悲鳴嶼さん自慢したい暦ちゃんと聞かれたら普通に答えるしのぶちゃん
「悲鳴嶼先生は穏やかな人ですね。皆からお父さんなんて呼び間違えられるんですよ」
「すごく優しい。怒鳴り声は聞いたことない」
「怒鳴るような叱り方は確かにしませんねぇ。諭す、叱る、がしっくり来ます」
「あと、すごく涙脆い。すぐ泣く」
「炭治郎くんの絵を見て泣いてましたね」
「あれは炭治郎が悪い」
という話を聞いて、細い優男みたいなか弱げなイメージを持っていたらやって来た筋骨隆々な男が2人に話し掛けてとても焦る
「嘘でしょう!?この人が姫島さんですか、本当ですか!?」
「失礼な人ですね。ご自分だって全然日本人らしくない顔なのに日本の名前でしょう」
「しのぶ、私は気にしない」
「こいつ嫌い」
「こら、暦。人を悪し様に言うものではない。それより、私が来るまで男に声を掛けられて不安ではなかったか」
「すごく怖かったです」
「不愉快だった」
「ばっちり根に持ってますよね、すみませんでした!」















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