平和に行きましょう。

天柱


雲井さんと悲鳴嶼さんの初邂逅は藤襲山での最終選別。この頃雲井さん16歳。悲鳴嶼さん恐らく18歳。この時点で既に周りより頭1つ2つ抜きん出た体格で大層目立つ。雲井さん的には自分より大きい人初めて見たーという感じ。でも別に話に行く程ではない。選別中会わない可能性の方が高いので2度目ましては選別終了後。その時も特に交流なし
本格的にお互いを認識し合うのは任務が幾度か重なるようになってから。鎖斧と薙刀の中距離武器と至近距離にも対応する拳を持つ異色の組み合わせだが、「他の隊士とやるよりも遥かに攻撃撤退の物分りが良いし、息が合うので効率良く狩りができるんじゃない?」となった。話の分かる男が大好きな雲井さんと何かグイグイくる女といつの間にか組まされて困惑だけど実際息は合う悲鳴嶼さんができ上がる
そこから8年間ひたすら柱として付き合いが続く


「あのねぇ、竈門くん。ここにいる皆はね、目の前で家族や友達を惨殺するような悪ーい鬼しか知らないの。貴方の可愛い妹さんが良い鬼って言われて、そうだったのかって許せる程、私たちは腑抜けではないのよねぇ」
 はぁ困った。この少年、善性と性格の良さは折り紙付きだが、やや鬼に寄り過ぎた思考で目の前の人間達の地雷を見事に踏み抜きまくっている。良い鬼って何だそれは、10年近く鬼殺隊にいるがそんなの見た事ない。まぁ鬼と見れば対話する間もなく殺し合いになるので相互理解も何もあったもんじゃないのだが。


雲井沙
26歳。身長175cmという当時として相当な長身と相応に付いた筋肉で頚が斬れる女性隊士。転生した系の人だから時々完全に気が抜けた時横文字が出る
悲鳴嶼さんの同期。現役柱。時々組手して有り得ない動きで観戦者から「2人とも人間じゃねぇ」と言われてる。自分でも思うけど「あらあらうふふ」系は崩さない
悲鳴嶼さんが世界で一番好き。いっぱい食べる君が好きだし猫可愛い可愛いしてる君も好き。基本的に全肯定マシーン。嫉妬しない方の伊黒
でも結婚したいとは思ってないしそこまで踏み込まない。向こうから踏み込まれたら、押しに押していた姿勢から一転して逃げまくる。でも捕まる

鬼殺隊入隊以前に助けた子ども達全員を信じて預けた人間に殺されたり犯された光景を目の当たりにした過去が原因で心を病んでいる。病んでいるけどお館様しか知らない。教えない。悟らせない。ただただ静かに病んで鬼を殺している。ちなみにその人間と仲間は皆殺しにした
本当は鬼より何より人間が大嫌い
悲鳴嶼さんが近くにいるから表立ってヤバくないだけで多分独りだったら徹底的な合理性の下で鬼殺しする。この場合モットーは「必要最低限の犠牲で最大限の鬼殺」



 天柱超怖い。如何な女好きの善逸でも汚い高音域を出しながら逃げるレベルで怖い。情緒の高低差がぶっちぎりの風柱とは逆方向で、多分あの人目の前で半裸のおっさんが踊ってても、顔は驚きながら心は全く動かないなんて離れ業を平気でやるだろう。可愛い可愛いと猫を撫でている時も真顔の時と全く音が変わらないし、完全に顔と中身が乖離しているのだ。
 見た目が超絶美人なお姉様なだけに、底の見えない井戸のような中身が恐ろし過ぎる。


「顔が……好き……」
「ド派手にどうでもいい」
「いつも凄く穏やかで冷静なのに、猫を抱いた時のちょっと崩れた口元と緩んだ目元が本当に可愛らしいの。もう、胸が張り裂けるくらい可愛い…というか動悸が激しくなる……」
「更年期だろ。胡蝶に見てもらえ」
「それにね、もう、ほんと誰かに聞いて欲しくて堪らないの。この間非番が被ったから散歩をしたの。私服姿も凄く物凄くかっこよくて多分絶対もう毎日見ても飽きない位のかっこよさで死ぬかと思ったわ」
「鬼殺隊史上最も間抜けな死因だなァ……。なあ姐さんよ」
「どうしたの?」
「いや、割かし不思議なんだがな。そこまで好いてるのに、どうして悲鳴嶼さんと祝言したいってならねぇんだ?ド派手に疑問だ」
「そこまでいったら完全にただの気持ちの押し付けじゃない。迷惑を掛けたら本末転倒。そこは弁えないといけないわ」
「は?」
「ん?」
「ちょっと待て。姐さんは悲鳴嶼さんを好いてるんだよな。じゃあ、悲鳴嶼さんから好かれてるって思わないのか?」
「そんな都合の良い想像、烏滸がましいじゃない」
「はぁ?」
「んん?」
「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜???」
「んん〜〜〜〜〜〜〜〜???」

 顔も体も心意気まで心底惚れられているという男冥利に尽きるような好かれ方をしているというのに、宇髄は全く以て悲鳴嶼が可哀想だと心底思った。傍から見ていて祝言秒読みみたいな状態なのに、雲井は悲鳴嶼からそこまで好かれているとは全く思っていないらしい。その上自分の一方通行な想いだと信じて疑わない。
 いや、おかしいだろ。お前毎日好きだ好きだと言動で示している癖にどうしてそうなる。他人から向けられる感情には馬鹿みたいに鋭い癖に何故悲鳴嶼相手になるとポンコツになる。
 確かに鬼殺隊の死亡率は馬鹿にならない。柱も相当な回転率で顔触れが変わってしまう。色恋沙汰にうつつを抜かせばその日の内にフラグ回収して鬼の餌になるなんてこともザラにある。しかしお前ら柱になって何年目だという話だ。2人揃って同時期の就任で8年、誰がなんと言おうと最年長最強の双璧である。上弦と鉢合わせない限り確実に生存するような奴らが何を恐れて祝言を挙げないかと思えばそんな理由で下らなさ過ぎた。
「付き合わされる俺らの身にもなってほしいってんで、まぁあれだ、荒治療といこうじゃねえか」
「もしかしたら相当面白い雲井さんが見られますねぇ」



「おい、逃げたぞ」
「逃げたな」
「煉獄さん、貴方ともあろう人が逃がすなんて」
「よもや!不甲斐なし!だが関節を外してまで逃げるとはな!!」
「きゃーーーー!!!沙さん飛んでっちゃったわ!!」
「……帰る」
「おい待て1人で帰るなテメェ」
「…悲鳴嶼さん追いかけて行ったし、僕たちどうするの?」
















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