平和に行きましょう。
さらさん
男は懲り懲りである。
齢17にして兎山沙良はそう結論づけた。失望したと言い換えても良い。
沙良は器量よしの娘として評判であった。家は大が付く金持ちで祖父は地方の名士、祖母は老いてなおかつての美貌の面影を見せる美しい人で、沙良は祖母の生き写しと言われる程似ていた。妻の若かりし頃にそっくりな孫娘を大いに気に入った祖父に大層可愛がられ、大事に大事に育てられてきた。不幸な事故で亡くなった両親の二の舞にはさせるまいという悲痛な想いもあったのか、祖母が顔を顰める程度には祖父は過保護で、15歳まで沙良は1人で屋敷の外に出たことがない程であった。それは正しく籠の中の鳥とも言える生活だったが、まぁまぁ我慢していた。祖母が「貴方も17になる頃には、素敵な殿方と添い遂げてこの家を出るのですよ」と慰めてくれていたからだ。
素敵な男性と一緒にこの家を出て、子どもを産んで祖父母にその子の顔を見させてあげることが何よりの孝行だと理解していた沙良は、今はその未来のための準備期間なのだと花嫁修業に精を出した。
沙良に縁談を申し込んできたのは2人いた。著名な物書きと、大学教授をしている医者である。どちらも沙良より結構年が離れていたが、性格も家柄も申し分無く、見定めていた祖父母もしばらく観察した後「お前の好きな方を選びなさい」と委ねてきた。断るという手もあったが、断る程の理由は特に無い。だが、物書きは奇病に掛かっていて、日の出ている内は外に出られないという。目と皮膚がとても弱い先天的なものだと。
求婚しにくる奴全員鬼か犯罪者で全員鬼殺隊に殺されるなり官憲に引き渡されて結果的に行き遅れる沙良さん
あいつもそいつもみんな鬼か犯罪者
目的は皆「食べたい殺したい1つになりたい」。男嫌いになるし女も時々狂って殺しにくるしとても辛い
祖父母は寄って集る鬼(と犯罪者)から尽く守ってくれた鬼殺隊というか産屋敷家に感謝の寄付金(多額)を贈り、別荘2つに藤の紋を掲げて使用人達に管理させている。鬼殺隊もおうちもニッコリだけど沙良さんはげっそり
近々鬼殺隊にかなり大口の資金援助が入るらしい。隊士には広まっていないが、裏方の隠たちではそこそこ囁かれている話だ。
鬼に襲われた所を鬼殺隊に救われて、藤の紋を掲げる民間人は時々いる。他人に施せる程の家は大抵裕福であるが、しかし話に出てくる家はそんな規模ではない。ちょっと裏から官憲に物申せるような本物のヤバい金持ちが、鬼殺隊が動きやすいよう様々な便宜を取り計らい動いているとか。
「最近剣士たちが官憲に目ェつけられなくなったって喜んでるよな」
「見て見ぬふりされてるらしいな」
世が世ならお姫さまと呼ばれるやんごとなき立場のお嬢さまが、岩柱さまに懸想しているらしい。
「いやマジだって本当にマジだったんだって聞いて聞いて」
「いやだー!!聞きたくない!!柱がモテる話なんて聞きたくない!!」
「見ちゃったんだって本当にめっちゃ可愛い女の子が岩柱さまに手紙とお守り渡してたんだって」
「ぎゃー!!!やめろー!!!」
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