平和に行きましょう。

榴くんちゃん


「わぁい鬼灯くん、ボクに現世視察任せてくれるってほんとー?ていうか正気?また二徹くらいして閻魔様しばき倒した後とかじゃない?」
「失礼ですね。判断ミスを犯すような頭になる前に寝ていますよ、大王しばき倒してもぎ取った時間で」
「結局しばき倒してんじゃんー」
「それはともかく、今回の視察は正直かなり長期間なんですよ。少なくとも年単位は榴さんには現世に留まってもらっています」
「……え、何それ。いいの?」
「地蔵様の顔もチベットスナギツネになるような罪状を重ねた人間を地獄に叩き落とす為の、特例措置です。ちなみに滞在するにあたって所属する所は既に決まってるので、はいこれに目を通して下さい」
「はぁい。……あ、この名前知ってる。この間臨死体験して法廷彷徨いてた人だ」
「その人が運営している組織が件の人間を追い掛ける為のものだそうで。アレを滅ぼしたいその人と、アレを地獄に叩き落としたい我々の利害が一致したので、隠れ蓑にさせてもらうことになりました」
「なるほどー。あ、時々鬼よりやべぇ亡者いるじゃんとか思ったらこういうことだったんだねえ。うん、うん……うーん。これ本当にボクでいいの?」
「むしろ榴さんが適任です」
「嬉しいようなー。そうでないようなー」
「程々に社会の仕組みを守りながら時に思いっきり踏み外す常識外れのアンポンタン、古株で力こそパワーを地で行くそこそこ信頼は置ける割に長期間いなくても差程問題の無い獄卒。ここまで見事に私の求める要素を満たしているんですから、何がなんでも行ってもらいますよ!」
「わーい、罵倒と褒め言葉が半々で殴りに来たー」
「見事やり遂げたら休みでも賞与でも神憑り的な物でも、何でも好きな物を用意すると十王全員の誓約書もあるので存分に頑張って来て下さい」
「はぁい。頑張るねー」


榴くんちゃん
鬼灯と愉快な幼馴染みたちの内の1人。7つまで生きられなかった子ども達の魂が鬼火になって、7つまで生きられなかった榴の生前の体に入って鬼になったハイブリッド型の鬼
「八大地獄のサイドワインダー」の異名を欲しいままにする足の付いた核弾頭。脱走した亡者がいれば何があろうと必ず捕まえ、そこにやる気のない獄卒がいれば血反吐吐かせてやる気を出させる鬼の中の鬼。普段はふにゃふにゃした小柄な鬼だから尚更豹変すると恐ろしい。この度鬼灯から鬼舞辻無惨の捕獲を命じられて現世に降り立つことになった
鬼殺隊にひょっこり現れた超新星の隠となる。地獄で何千年何百年と雑事をこなしてきた手際は最早神。書類整備も戦場の後始末も何でもござれ
隊士じゃなくて隠なのは、見た目が完全に覆い隠せるからなのと、剣技とか出来ないし修行するより現世あちこち飛び回って調査したいから。多分そのうち多芸過ぎて柱付きになるしその時はその柱限定で産屋敷さんからも榴くんちゃんの説明がある
大好物は温泉卵。とっても力持ち。巨漢の悲鳴嶼さんも簡単に抱き上げられるしほぼほぼ疲れ知らず
趣味は料理。食べるのも好きだけど作るのも大好き。特技は磔。どんなに暴れる亡者も釘付け(物理)して刑場に運ぶ。隠になってからは時々鬼相手にやっている


 熱い湯気と共に鼻腔を擽る出汁の香りは柔らかい。大きめの具がごろごろ入ったお焦げのある炊き込みご飯と、軽く炙られてじゅわじゅわと脂の爆ぜる音が微かにする干物。味噌汁と付け合せの漬物も用意され、正しく理想的な夕餉が目の前に広がっていた。
「これは…」
「鶏とゴボウ、あと人参を使った炊き込みご飯と、アジの干物。お味噌汁の具はワカメと豆腐、お漬物は浅漬けのキュウリです。何でもいいって言ったので好きに作りました!」
 言った覚えは確かにある。岩を押す前に後ろから聞かれ、若干自棄になって突き放したつもりだったのだが。


「だーめですよー、もう!油断してたら鬼に食われちゃうのは隠も同じなんですからー」
「うんありがとう助かった。でも何でお前鬼相手に素手で立ち向かって勝てるの。というかその杭何であるの」
「なんていうか、うん、手っ取り早く手足潰しとこっかな的な?」
「手っ取り早く手足潰しとこうって考えが当たり前になるお前の人生どうなってんだよ」
「えへへへへ」
「こわいよー。後輩の得体が知れなくてこわいよー」
「ふへへへへ」

「ボクからしたら人間みんな軽いよー」
「岩柱様おんぶ出来る奴が言うと違ぇわ…」
「ボクの友達だと一軒家持ち上げられる奴いるよ」
「お前もそいつも人間じゃねえ!」
「あっはっはっはっ」

「地獄の鬼という割には、随分と人間臭いのだな」
「まぁボクも、一応元人間ではあるので」
「ほう……」
「やん怖い。ボクは、7つまで生きられなかった子どもの死体に、7つまで生きられなかった子ども達の魂で出来た鬼火が入ることで生まれた鬼なんですよう。だから、人間っぽいのはそこら辺から来てるんじゃないんでしょーか?」
「……そう、か。お前は既に死んでいる身なのか」
「ですです」
「悲しいとは思わないのか?」
「7つを越さずに死んじゃったことなら、別に。ボクの他にも生贄にされて亡くなってから鬼になった奴もいますし、死ぬ事自体珍しくないので」
「…………」
「悲鳴嶼さん優しいなぁ。地獄の獄卒に憐れんでくれる人間、あなたが初めて」
「辛い事を素直に辛いと泣かないお前が憐れだ」
「んえ?」
「悲しむ暇が無かったのだろう。縋る相手がいないから泣く事を覚えなかった。お前は強いのではない、ただそれを知らないから表に出せないだけだ」
「悲鳴嶼さん酷いこというね」



「ごらぁああああ!!!!てめ、お前こらー!!!人がえんやこら作った飯一瞬でぐちゃぐちゃにしてー!!許さん!悲鳴嶼さんが許してもボクが許さん!!このやろう!!」
「何だと化け物!!」
「好きにしなさい」
「よっしゃらぁーー!!モヒカンお前覚悟しろぉ!!!表出ろ表ェ!!」
「やってやろうじゃねえかこのチビ!!」
「南無」

「ぐっクソが……!」
「飯の恨みはめちゃくちゃ深いんだぞう!!地獄も地獄で酷いけど、餓鬼道ははちゃめちゃにご飯に関する苦しみが凄まじいんだからなぁ!!お前そんなとこに行きたいか!?行きたくないだろ!?だったら生きてる内の行いは善くするべきだろー!!」
「なんで鬼にあの世説かれなきゃなんねえんだよ!」
「仕事増やしたくないからだよ!」















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