平和に行きましょう。

ほぐ


 山桜桃の新生活は思ったより快適だった。夢に見た魔法の世界の為か受け入れやすく、また屋敷しもべ妖精は山桜桃をお姫様のように丁寧に扱ってくれた。しかし肝心の恩人は初日以降全く顔を見せない。
「それはですね、お嬢様。旦那様は貴方様が怖がると思って会わないようにしていらっしゃるのです。あの旦那様とは思えないお優しい心遣いです。奇跡か天変地異です」
「トーリー、実は嫌いなの?」
 自分の雇い主をどえらいこき下ろす言葉だが、きょとんとして「まさか、偉大なお方です」と当然のように言う様子も嘘ではなさそうだった。


「旦那様、トーリーでございます。旦那様にお客様が来ておられます」
「予定のない客は追い返せ」
「しかし旦那様。本当に追い返してしまうと旦那様はきっと後悔なされます」
「……随分と偉くなったものだな。主人を前にして進言のつもりか?」





































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