平和に行きましょう。

山桜桃さん4


 山桜桃の得物は薙刀だ。石突から刀身の先まで合わせて七尺余りという柱の中でも輪にかけて目立つ長さだが、実の所、刀よりは憲兵の目を誤魔化しやすい面はある。そして、どちらかというと薙刀の形はそのまま目眩しにも近かった。
 石突の部分をよく見ると、漆塗りにされて非常に目立たないがぐるりと1周する溝がある。丁度刀の柄程の長さであるそこを握り、反時計回りに捻るとカチンと音が鳴り、引き抜くと薙刀の柄から殆ど反りのない直刀が現れる。それは刀のような片刃ではなく両刃であり、小烏丸と呼ばれる大昔の刀を模した造りとなっていた。
 異端の鳴柱と呼ばれる所以は、薙刀と仕込み刀の両方を使うが故だ。いいじゃないか、雷の呼吸は昇華しているのだから、とぶつくされても同意してくれる人間は柱仲間しかいない。師範ですら、しばし絶句していた。

 鬼殺も、屠殺も、山桜桃にとってどちらも「必要だから殺す」という意味では、同じだと考えている。いわば人食い熊や畑を荒らす害獣といった認識か。
 勿論厄介さは段違いで、決して侮る訳ではないが、鬼となったからには人と同じようには扱えない。人でなしを人と同じにしてしまったら、己も、気高い仲間も皆鬼と何も変わらなくなってしまうからだ。
 胡蝶の姉は憐れんだ。妹の方はずっと怒っている。最終的には頸と胴が別れさえすれば、考え方なぞとてもどうでもよかった。
 だから、竈門炭治郎とかいう隊士とその妹である鬼が目の前に現れた時、いっそのこと両方の首を一緒に刎ねれば文句無かろうと思った。実際口にした。竈門炭治郎は絶句していたし他の柱の何人かから「お前マジか」といったような視線をもらったりした。
「何故驚く。この隊士はこの鬼こそが生き甲斐なんだろう?妹を殺した後、こいつが隊士どころか人間としてまともに使える保証が無さそうだし、兄妹揃って斬首した方が優しさってもんだろぃ」
「隊律違反者と鬼の斬首にケチつけてんじゃねぇ。それを優しさだと思ってるお前の脳みそが派手におかしいってんだ」
「なんというか、うむ!独善的だな!」
「テメェら斬首斬首はしゃいでたクセにひっでぇの」

































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