平和に行きましょう。
かたくり
カタクリの体は生傷だらけだ。いつだってどこかしらに血が滲む包帯か絆創膏を貼っていて、そうでなくても皮が張ったばかりの真新しい傷跡があちこちに見えている。
「………んんー…」
「また派手な位の鼻血だね」
酷い。とても酷い。おろしたての、気持ちのいい白地のシャツは点々とした血痕で台無しになっている。洗えば何とかなりそうなのが幸いだが、だくだくと垂れ流したせいかカタクリの顔色は青白い。体が弱いのに、そそっかしくて、その上ポケモンからやや暴力的な愛情表現をされるせいで、いつまで経ってもケガが治らないのだ。
「今回はどうしてなんだい?」
怒らないから、と念を押せば、カタクリは子どもらしくバツの悪そうな顔でもごもごを口を動かす。
「…木の実取ろうとしたら、その…ケケンカニが飛び出してきて…」
「それで拳が当たったのかい」
「ん…」
「君はただでさえラナキラマウンテンにいすぎなんだから、自分で思ってるよりかなり自分を大切にしないとね」
低い体温。血の気の失せた白い肌。見たまま凍えそうな冷たい肌は、アローラにはあまりにもそぐわない。
「この間ね、カタクリちゃんのお家に連れてってもらったの!こう、お屋敷!って感じの大きな所でね、おばさんがすっごくおいしいココアとお菓子出してくれて、カタクリちゃんの部屋でいっぱい遊んだりしたんだよ!」
「別に、この間助けてくれたお礼だよ」
「でも楽しかったよね!」
「ぐえっ…」
「アセロラ、離してやりな。カタクリの腹締まってるから」
「あっ、ごめんね」
やりすぎちゃった、と謝るアセロラと、若干迷惑そうだが突き放さないカタクリ。性格が合うのか少し心配になる組み合わせだが、怒ればかなり辛辣な言葉を吐くカタクリが大人しく振り回される様子を見るに、友達として随分良好なようだ。キャプテンという立場が、普通のトレーナーと一線を画する存在にしている部分と影響は少なからずあり、そんな数少ない同じ境遇の仲間同士、険悪よりも友達として仲が良いに決まっている。
「ありがとな、カタクリ」
「いえ、助けてもらったのに何もしないっていうのが、あんまり落ち着かないので…すみません」
尻すぼみになった言葉と一緒に視線も下にさ迷っていく。
「そこはありがとう、でいいんだよ?カタクリちゃんは考え過ぎてこんがらがっちゃうんだから、簡単な言葉で良いんだよ」
「…わかった。クチナシさん、ありがとうございました」
カタクリちゃん
美少年にしか見えない女の子。17歳位。幼児に王子様呼ばわりされたり、同年代からは気軽に話し掛けられないアイドルのように遠目にされているので、友達が同じキャプテンのマーマネやアセロラしかいない
ウラウラ島三人目のキャプテン。普段はラナキラマウンテンでこおりZの管理をしている。 手持ちはこおりタイプで統一しており、グレイシアをパートナーにしている
赤い目とくすんだ短い銀髪が特徴的。性格は非常に淡白かつ物静か。小さな頃から周りに遠巻きにされ続けてきたせいで人付き合いを諦めており、言葉が端的で時々辛辣。マーマネとはゲームで繋がり、アセロラは唯一初見で性別を見抜いた親友
元々かなり体が弱く、無茶に無茶を重ねて島巡りを終わらせている。そんな経緯があってか、見かけによらず根性論を推しており、大体気合いで何とかなると信じている。貧血気味で、雪が降る程寒い場所に、こおりタイプのポケモンに囲まれているので毎日が命懸け。でもキャプテンを降りるつもりはない。巷ではそんな姿が「孤高で素敵」と女の子に人気だが、まるっきり理解はされてないので歯牙にもかけない
マーレインからめちゃくちゃ女の子扱いされて困惑している。ケガで流血したり貧血で倒れる度に「体は大切に」と諭されているが、そもそも危険のボーダーラインが狂っているので理解していない
父親は亡くなっており、母親と父方の祖父母と暮らしている
手持ち グレイシア ケケンカニ トドゼルガ デリバード
マーマネ
お互いが小さな頃からの知り合いなので半ば姉弟のような仲。別のプロフェッショナルで分からないことだらけだが、「やっぱり君凄い!」でお互い集約されて褒め称えあっている。ただカタクリちゃんがあまりにも無表情でたまに心配になる
ゲームの話で盛り上がるので、ラナキラマウンテン以外ではカタクリちゃんは天文台にいる
アセロラ
1人で山篭りする変わったキャプテンが珍しく山から下りてきた、というので会いに行ったらとても綺麗な女の子だったのでお友達になった。人付き合い下手過ぎてお姉さんのような心境
瞳の色がクチナシにそっくりなので会わせたら、カタクリちゃんがヤミラミを前にしたメレシーのように震えだしたので反省している
クチナシ
都市伝説のような三人目が現れたかと思えば、何故か嫌われていて若干凹んだ
ちなみにカタクリちゃん目線では決して嫌っている訳ではなく、目と雰囲気が亡くなった父親そっくりで泣きそうになったから。後々真相と性別を知って固まった
マーレイン
たまに対戦ゲームをしている従弟と妹分に混じって遊ぶ大人
生まれた頃からカタクリちゃんをよく知っていて、近所のお兄さんと妹のような関係。小さな頃のめっちゃ可愛い彼女に「おにいちゃんとけっこんする!」と宣言されているのを真面目に受け取っている
最近あまり構い過ぎると照れて叩いてくるが、勿論弱々しい不健康児なので全く痛くもない
カタクリちゃんの試練
ラナキラマウンテンでスタンプラリー。山中のあちこちにカタクリちゃんの手持ち達が散らばって、その子達が持つ判子を紙に押して山頂まで来ること
全部で三つ。野生ポケモンの巣や、死なない程度に危険な場所を通らざるを得ないので、割と結構キツい
ちなみにカタクリちゃんはそんな登山ルートを当たり前のように通るが、それでも健康良好とは言えない不思議さ
カタクリちゃんの父親
カタクリちゃんのトラウマ。捜査官で、とある事件を追っていた最中に事故で亡くなったとだけ知らされている。遺体は戻ってきていない為、墓の中身はからっぽ
背が高過ぎて猫背で、赤い目が怖いと定評のある優しいお父さんだった
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