平和に行きましょう。

かぜのこ


 言葉足らずが誤解を招いて印象を悪くするのそは割とよくある話である。どこぞの水柱などはその典型かつ究極系だ。余程ポジティブか気心の知れた人間でない限り九割方の確率で嫌われる稀な例だろう。まぁそれは極端すぎる例だとして。
 言葉足らずでもないのに妙に誤解を招く人間というのも、時々現れる。診察室にて、しのぶの前に座る女性隊士が正にそれだ。
「はい、細さん。骨も内臓も特に異常なしです。一晩寝たら復帰できますよ」
「ありがとうございます、蟲柱さま。以前頂いた軟膏のお陰でこれだけで済みました」
 朴訥とした表情に、歳の割に低く落ち着いた声。ともすれば淡々とし過ぎていて感情のない言葉だが、しっかりと目を合わせて感謝を伝えてくる辺り、悪い子ではないのだけどと思う。
 中性的で男女の性別から離れた容貌の兎山細は、とにかく顔が怖い。シャンと定規のように伸ばされた背筋や礼節のしっかりとした態度は隊士の鑑でさえあるのだが、とにかく表情がない。そのくせ言葉はしっかり重ねてくるし、目も合わせてくる。悪い奴ではないが、誰に対しても崩されない一定の敬意と淡々とした物言いはお互い触れるに触れられない距離さえ感じられて苦手とする者は多い。そして、あまり人の顔を悪し様に言うのは失礼だが、その見つめてくる目が鋭いのも原因だろう。全体的に整っているだけに刀の切っ先じみた鋭い目付きは、それだけで何か疚しいことをしたかのようにビクリと体が固まる。
「不死川さんの稽古は順調ですか?」
「そうだと思いたいです。少なくとも、以前より遥かに動きの無駄が無くなったんですが、それでもまだあの方には敵いません。稽古中は師範の方が鬼に思えます」
 この子の面白い所は、淡々としてる中でサラッと毒舌を混ぜる所である。恐らく知っているのはしのぶと、細と会話を重ねられる不死川ぐらいだろう。欠点なんてありませんみたいな澄まし顔をしている割に、言葉の方はかなり表現豊かで笑わせにきている。
「経験は最高の教師だそうですが、授業料が馬鹿みたいに痛いです」



兎山細
階級は甲。17歳
上背と筋肉がある風の呼吸の剣士
無表情で無感情な見た目だが中身は結構な不思議ちゃん。表情豊かならそうでもないが、基本的に無であるのでギャップが凄まじい
好物は野菜のかき揚げと甘い物。得意なことは猫の鳴き真似
逆に嫌いな物はキノコ。1度あたって酷い目にあった
猫の鳴き真似は上手すぎて猫たちとコミュニケーションが取れるレベル。猫語を習得していると言っても過言ではなく、柱になる以前の甘露寺に披露して猫をたくさん集めて見せたりした。時々甘露寺繋がりで悲鳴嶼の3人で猫の話をしている
不死川の継子。血反吐吐きながら稽古して食い付いてる。稽古中は殺伐としているが、それ以外ではおはぎやそれに合う抹茶の話などかなり緩く過ごしている
最初は堅物で真面目という印象だったのに、今では「かなり子どもっぽくて天然入った馬鹿」という扱いにされている。本当に真面目な奴は真顔のまま「ぐおああああ」なんて呻かない


「おめぇは何でこう……はァ…。最初は堅物で真面目な奴かと思ったんだがなァ……」
「えっ、そんなふうに思われてたんですか。私は自分のことちゃらんぽらんだと思ってましたよ」
「そうだな、アホとバカの間の子だなァ。無駄に見た目を真面目に擬態させてっから誤解されんだろぉなぁ」
「だって面倒じゃないですか」
「アァ?」
「最初からちゃらんぽらん露出させるより、真面目にやる方が楽だから、そうしてるんです」
「お前はお前の理屈で動いてるのだけは分かったわ」


「キャー!!すごい!細ちゃんすごいわ!!」
「子どもの頃からこれだけ得意なんだよ」
「細ちゃんのこと同じ猫だと思ってるのかしら!?こんなにいたのってくらいたくさん来たわ!」
「多分でかい黒猫みたいに思われてる」

「岩柱さま、後ろに失礼します」
「うむ」
「なァあお、二ァー」
「悲鳴嶼さんの体を仔猫たちが登ってるわ……はわ……素敵…」
「猫可愛い」
「ちなみに、たまに師範の後ろ取って同じことやります」
「それもきっと素敵ね!見てみたいけど、後ろ取るまでが大変そう」
「猫可愛い」
「稽古以外の時間だとそうでもない」

「やべぇすげえ、あの一角だけ空気が違ってる」
「猫もそうだけど絶対花が飛び交ってる」
「岩柱さまの後ろにいるの誰だアレ」
「風柱さまの継子だろ」
「猫に囲まれてる岩柱さますごいな。女の子に挟まれてるのに猫しか感じてない」
「風柱と蛇柱の視線流してる恋柱もやべぇ。ガン見されてるのに気にしてない」
「あの3人空気清浄の役割でもあんのかな」
「そもそも何で集まってんのアレ」
「岩柱さまと恋柱さまが猫の話で集まるだろ?その時点で近くに蛇柱さまがいる」
「そこまでは分かる」
「話の流れで恋柱さまが同期でめちゃくちゃ猫の鳴き真似上手い隊士いるって話して、岩柱さまが興味持った」
「うん、まぁ分かる」
「その隊士が風柱さまの継子って分かって、2人が風柱さまに会いたいと伝えたらしい。蛇柱さまが後ろからめちゃくちゃ圧かけながら」
「岩柱と蛇柱の組み合わせとか死ぬわ」
「風柱さま労わろう」
「で、風柱さまが連れてきた継子があの人。ものの1分で猫集めて、あたり一帯の猫が今岩柱さまに群がってる。それにはしゃいでる継子と恋柱さまを、風柱さまと蛇柱さまが見守ってる」
「よく考えたら今ここ柱半分集まってるのか」










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