平和に行きましょう。

山桜桃さんif


「もう死んだ。それ以上はやめろ」
 恐らくは血に染った手には、血だけでなく無数の髪と骨の張り付いた肉片までまとわりついている。そんな手を躊躇いなく握り込んだ手は、声変わりしたばかりのような高さに相応しい、細く長く、けれど非常に硬い感触だった。
 ……終わった?終わったのだろうか。いや、何が終わったのだ。口にしようとしても口ばかりが動いて肝心の声と舌が縺れる。早く、はやくまた殴らないとアレは動き始めるのではないのか。
「鬼の頸を斬った。あなたはもう手を汚さなくていい」



山桜桃お兄さん(15歳)が寺襲撃事件に間に合ってないけど間に合った話
顔と手が血塗ろの青年(悲鳴嶼さん)にびっくりしながら宥めつつ震えてる幼女(沙代ちゃん)の意識落としつつ隠に保護させ、烏に報告させ、隠が見つけたらしい子ども(獪岳くん)も連れて帰る
悲鳴嶼さんが殺人犯の謗りを受けることはないけど獪岳くんの所業を知ってプチ人間不信になるし、とりあえず山桜桃さんは生き残った3人はあんまり一緒にせんほうがよかろうとお館様に進言して受け入れられる。しばらく3人の所回りながら精神安定させるお兄さんがいる。時々沙代ちゃんと悲鳴嶼さんは会うけど、獪岳くんは根性入れ直して反省しなさいと育手おじいちゃんの所に放り込まれる
山桜桃お兄さん的には悲鳴嶼さんが哀れに思えるし、初任務の初めて助けた人としてあんまりほっとけない。悲鳴嶼さんも極限状態の中で助けに来た少年に刷り込み的な安心感を得ているので軽い依存関係。初給与で甘味処に沙代ちゃんも連れていくくらいには可愛がってるけどその内「この子の為にもいいお家見つけてあげたいなぁ」とは思ってる
山桜桃お兄さんは獪岳くんを「人間らしい」とは思ってる。命の危機に他人を差し出す、それそのものはあまりにも普通のことだと。許せる所業かはさておき

「俺がお前に何も手ぇ出さないのには理由がある。分かるか?」
 甘い香りを纏った、女のような男。あの寺を鬼が襲った夜明けに、獪岳を捕まえた男。暖かくもなく、冷たくもない。硬くもなく、柔らかくもない。ただ、時々1人になった時にソイツは現れた。
 お前の所業を忘れるな、と教えに来る。
「……分かりません」
「だろうなァ」
 先生と呼び始めた老人に鬼殺隊について教えてもらってから、この男が何を考えているのかがより一層分からなくなった。我が身可愛さに同じ釜の飯を食った奴らと育ててくれた人を裏切った獪岳に対して、男は軽蔑の眼差しを向けるでなく、激怒するでなく、ただただ凪いでいた。
「お前が鬼殺隊なら、鬼と一緒にお前を斬った。でもそうじゃないから斬らなかった」
 鬼も人間も面の皮剥がれりゃそう変わらん。と、そこで初めて男は笑った。
「幸か不幸か、お前には才能があるらしい。このまま順当にいけば鬼殺隊に入るだろうさ。次ァ間違えんなよ」


























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