平和に行きましょう。

日常


「なぁ沙良、プータロー探してくれないか」
「…無職ニートのすねかじり?」
「お兄ちゃんそんな口悪い言葉教えた覚えはない」
「妹は日々進化してくんだよ」
「B」
 思春期の妹に未だ夢見る真雪の脳裏に、最近よくつるんでいるらしい二人の姿がチラつく。不良じみた見た目とそのパシリのような二人組で、存外育ちは良いのか言葉遣いは丁寧だったのだが…。
 我関せずと卵焼きをひたすら口に詰め続ける沙良へ、祖母の雪代が「あらあら、違うのよ、沙良」と宥めるように口を開いた。
「就労意思はあるけど就労出来ない方をプータローと言うのよ。…昔はそんな言葉無かったけど、よく考えたら大体の殿方は家督相続が遅くてプータローだらけだったわねぇ」
「んぐ…、それお爺ちゃんも?」
「………。あの人は極めつけよぉ、婿養子だし」
 心無しか写真の中の祖父が泣いている気がする。
「…ともかく、プータローって猫だ。今日どうせ暇だろ?」
「え、今日も学校の図書室行く予定あるんだけど」
「なら散歩ついでによろしく。珍しい二股だし餌で釣ればすぐ見つかるから」
 











 噛む程甘くほんのりと色付いた雑穀ごはんに、柔らかく香りの良いひじきの煮物、主菜は香ばしく脂のはねる焼き鮭だ。テーブルの中央に鎮座する木製の深いサラダボウルに盛られた白胡麻和えのサラダは、側に添えられた各種ドレッシング共に幾らだって取っていい。
 これらの食卓に並ぶ顔ぶれは、毎日毎食丁寧に調理された手作りだと一目で分かる。
「真雪ー、お味噌汁」
「はいよ。ばあちゃん、仏壇の茶入れてくれた?」
「用意してありますよ」
 手渡されたお椀からは湯気と共に濃い味噌の香りがする。具は豆腐とわかめの他に、作り手の好みで麸と余りの大根という中々具沢山な内容となっている。
 食卓のあれこれを全て拵えた真雪は、脱いだエプロンを背凭れに掛け、「いただきます」と手短ながらもしっかりとした合掌をしてから箸を取った。上座に座る雪代や沙良も同じく合掌してから箸を取る。
「やっぱり真雪が担当してると朝豪華だよね…」
「あら、お婆ちゃんのご飯は嫌い?」
「精進料理はちょっと辛い」
「あ、ばあちゃんの分だけ減塩だからな」
「ありがとうね」
「そういえば真雪、猫は?」
「店で飯食わせてる」
 
































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