平和に行きましょう。

ゆすらさん


「イデアさん、オンボロ寮の寮長さんについてですが」
「あの人がどうかしたでござるか?アズール氏興味無さそうだったけど」
「……あの人は監督生さんと違って魔法が使えますから。何か有用なユニーク魔法をお持ちではないかと思ったんですよ」
「ああー…ある意味で面白いよ。アズール氏好みかは知らないけど」
「おや、ご存知なんですね」
「まぁちょっとね。少なくとも怒らせたくないとは思いましたなぁ」
「そう、ですか。僕が気になっているのは、彼女が連れている使い魔の方でして。あの白い豚のような」
「悪いこと言わないから、アレには手を出さない方がいいよ」
「……随分と食い気味ですね」
「拙者優しいですから。これでも後輩思いなんすわ。……ま、とにかく、ユスラ氏には契約持ちかけてもいいとは思うけど、間違っても使い魔絡みは辞めといた方がいいよ。人で試すのもなし。確実に人死が出る」
「失礼ですが、彼女にそこまで厄介な存在と契約できる程のポテンシャルがあるとは思えませんが」
「あれはもう契約者の魔力がどうこうする話じゃないからね。一方的に気に入られるとかそういう話。ああいうのは実利とかそんなのどうでも良いんだ、永い時間の暇つぶしだから。利益次第なら誰にでも愛想のいいアズール氏じゃ理解できないし、しなくていい」


「ていう会話をしましてなー。いやマジ拙者思いやりティ溢れてるっすわ」
「そうですかー。いやほんと学園長くらい優しい」
「えっ何急なディス」
「えっ」
「あ、本気と書いてマジの顔っすかそうですか……いや褒めてるんならいいけど……。で、今日のレポートだけど」
「ああ、はい。でも私、そっち側と関わりがあるだけで専門家じゃないですよ?まして覚えてる魔術2つだけだし」
「ゲロ吐かせるのとゾンビ作れるのでしょ…。見た目は神官系ヒーラーなのに出来ることネクロマンサーってギャップ強すぎ。あとこっちとしてはユスラ氏の身体検査が大本命だから、そっちはおまけくらいだよ。だからって適当にされても困るけど」
「知識と血を引き換えにこの世界の人権とお金貰えるならまぁ大丈夫ですよ」
「あと君が書いた“トンちゃん”の飼育方法、穴がある。お陰でうちの職員1人発狂したんだけど」



 生きていることは不幸ではないが、山桜桃の半生はちょっとばかし辛いことが多かった。
「私、弟が2人いたんですよ」
 目の前で燃える青い髪が一瞬激しく爆ぜた。いやしかし、燃えるような赤い髪という形容はよくされるが、現実に燃える青い髪なんて真反対のものが見れるとは思ってもみなかった。なんて、呑気に微笑む。
「1人は双子の弟で、両親が離婚した時に父に連れてかれちゃって生き別れました。もう1人は、再婚した母が産んだ種違いの弟で……この子は、事故で亡くなりました」
 杏は強気で何にでも立ち向かう性格で、李は少しお調子者のケがあった。弟同士が出会うことは最早ないが、どちらも姉である梅の手を引いて前を歩くような、明るくて可愛い弟たちだった。
「李のお墓参りに行かなきゃいけないし、杏の恨み言もまだ全部聞けてない」



































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