平和に行きましょう。
そのに
レヴナント、という吸血鬼らしい男女は、少なくともこの地球では開発されていない技術で人為的に作られた不老不死の生き物らしい。これ以上また厄介なバケモノが増えてたまるかと思っていたが、思っていた上位者産のBB的バケモノではなく、あくまで人類産の元人類だと分かった。どっちでも危険なことに変わりないが、少なくともレヴナントは人間を守る為に生まれた存在で、積極的に人間を殺戮する気もなければ世界をしっちゃかめっちゃかにする気も全くないという。
とりあえず信用できないので輸血パックを餌にライブラに入れてみたが、スティーブンはセトとジャックをそこそこありがたいと思うようになった。
何せ死なない。頭を吹き飛ばされようが半身ちぎれようが再生する。再生回数は1度の死亡までに制限があるらしいが、死亡して復活すればまた再生する。血を失い過ぎると危ういらしいが、今の所そもそも血が全く出ない現場などないので蛇口で水を飲むお手軽さだ。
あと元軍人というジャックは勿論、セトの戦闘能力も魅力的だった。冥血という特殊な血を扱う技の数々はクラウスらの血法と似て非なるもので、下位であるが対BBの戦闘でも非常に役に立った。
健康的な小麦色の肌に覆われた細い首筋に男が歯を立て、ぬらぬらと唾液と血を垂らしながら「ちゅるちゅる」と音を鳴らしていた。
「んっ、ふぁ…」
悦の混じった声が漏れ、セトは噛み付いている男、ジャックの服を強く掴んだ。制止を求めているのではなく、ただ愛おしさ故にもっととせがんでいるのは容易に分かった。その求めに応じて、噛み跡に舌を抉り込むようにして血を滲ませるジャックの肌蹴たシャツから覗く首筋にも、同じ噛み跡がある。
「ぁ、あっ、もっと、もっと…」
「…これ以上は俺が多く吸う。おしまいだ」
「ちょーぜつふけんこう。げろまず」
「…これは…不味いな」
ザップの血液を試しに味見した二人の評価はどちらも最悪だ。セトに至っては余程口の中が酷いのか、キャンディを1つ2つと噛み砕いて無理やり味を誤魔化している。
「そりゃーまー煙草と酒とヤクまみれになってるザップさんの血やばそうっすよね」
「貴様は薬物に手を出してるのか。健康に悪いぞ」
「うるっせーオカンか!!てめぇそのナリでヤクも酒もやってねーとか詐欺だろ!」
「えっ、セトさん廃墟に住んでるんですか?お給料もらってるんすよね?」
「ためてるよー。でも血がごはんだから、みんなみたいに食事はいらないの」
「えっ、あー…そういやそうでしたね。ぼくら衣食住に金使うのが当たり前だからなぁ…」
「んふふ。でもおやつとかたべるし、生活にひつよーなのはちゃんと買ってるよ」
太陽の下に出ても焼かれない。
銀や十字架を恐れない。
心臓を杭で打っても死なない。
ニンニクも普通に食べられる。
元々は墓場で眠る死体にBOR寄生体なんてものを埋め込まれ、叩き起された存在が彼らにとっての吸血鬼だという。
血を飲まなければ飢えて堕鬼という理性を失ったバケモノに成り果てる。蘇った吸血鬼は自己の消滅が何よりの恐怖で、死なのだと語った。
「堕鬼に堕ちれば元には戻れん。俺たちは、そうなる前にせめて人である内に止めを刺すと互いに決めている」
「スターフェイズさんたちみたいな、人間のままでも使えるすごい能力が私たちにもあったらよかったのにねー。そしたら皆墓から起きずに済んだのにー」
「それはそれで収拾がつかん」
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