平和に行きましょう。
けいろ
手の内に閉じ込めて、余所見などさせずにずっと2人きりの殻に閉じ篭るのも1つの愛で方だろう。健全とは言い難いが、少なくとも不本意に傷付けることも失う事もない。だが、生憎とて相手が人間なら意思がある。意思があるなら口も開いて自由に歩き回るので、そんなことをしようものならそれなりの苦労が付き纏うことになる。
が、別段人形を愛でたい訳でも独占したい訳でもない。己の願望はそれらに似てはいたが、毛色がそれなりに異なっていた。
カルデアには藤丸立香の他に生き残ったマスターが1人いる。八雲沙というその人は立香よりずっと魔術に長けていて、時々彼女が扱う専門について授業してくれることもある。友達、といって差し支えないと思うのだが、何となく面と向かってそう呼ぶには躊躇う要素がいくつかあった。
沙の纏う空気は排他的だった。悪意のある物言いや態度を取る訳ではない。近くにいれば話すし笑い合いもする。けれど、そこには確実に距離があった。そして、彼女の傍には大抵「彼」がいた。
「私の魔術回路は、分かりやすく言うと量より質を極端にしたものでね。質が良いから魔術も強い。が、如何せんガス欠が早い。」
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