平和に行きましょう。
堅さん
「んー、どこかでお会いしましたっけ。申し訳ないですが、職務以外で人の顔を覚えるのって難しくて」
警視庁特殊犯罪捜査零課、通称「白囲碁班」あるいは「ゼロ」のメンバー、堅香子。刑事課の中でもかなりの自由裁量が認められたその班は、ゼロというややこしい呼称や独自性から、公安程ではないにせよ庁内から良い顔はされない。
そんな班でチーフの補佐役をしている堅は、刑事にしてはかなり異色の技術を有していることでもっぱら有名だ。
「こんにちは、香子さん!」
「ひぇ……こんにちは、コナンくん…」
「何で毎回後退りするの……?」
「子どもが苦手だから。お願いだから、最低2席は間空けさせてね、私の為に」
「そこで僕の為に、とか嘘でも言わない正直さが香子さんのいい所だよね」
「まぁね。……君、結構な頻度でここにいるけど、どうして?」
「おっちゃんと蘭ねーちゃんが仕事とか学校でいないから、帰ってくるまで待ってるよ」
「ああ、なるほど」
「香子さんから僕のこと質問してくれるってことは、僕のこと興味ある?」
「答え方と表情によっては児相への連絡を考えていただけだよ」
「やめてよ!!!」
「あはははは。……はぁ、喉乾いたな。すみません、アイスコーヒー1つ」
「畏まりましたー!」
「そういえば、最近香子さんポアロによく来るよね。お仕事暇なの?」
「警官に暇なの?って中々刺すね君も……。暇なら暇で平和ってことでいいんだけど。うーん、まぁぼちぼちでんなー」
「人花教、に聞き覚えは?」
ゾッとするような声だ。黒々とした目がこちらを見つめ、上から押し潰すようにじわじわと近付いてきていると錯覚させる圧を掛けてくる。
「悪質で排他的な宗教団体だ。子どもだって使うだろう」
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