平和に行きましょう。
ゆすら
実家は病院である、と言うと大体いつも変な顔をされる。所謂「えっ、お前が?」という失礼な類の顔だ。
普段の振る舞いからしても行動にしても、かなり好きにしている自覚があるので、別段腹を立てる程のものではない。だが一応、これでもちゃんとしたお家でまっとうな両親の元で育った普通の人間であるということは、山桜桃梅にとっての誇りではあった。
しかし、まぁ、まっとうな育ちであってもそこからドロップアウトする人間はそこそこいる。お堅い家かへの単なる反抗か、はたまた因習からの逃走か、理由は千差万別様々だ。そしてその例に漏れず、山桜桃家にも派手な出奔をした人がいるらしい。
「それが、私のひぃおじいちゃんなんですって」
「はーなるほど」
「なんと香港マフィア」
「とんでもねぇドロップアウト先だな」
蘭さんの良い所はちゃんと相槌を打ってくれるところだ。梅はニッコリした。
「ひぃおじいちゃんの子供のおじいちゃんがいるけど、赤ん坊の時にひいひいおじいちゃんに預けられてあんまり知らないそうなんです。だから、おじいちゃんもひいひいおじいちゃんから聞いた話だって」
つまりは又聞き。しかしこの際信憑性はさして関係なかった。今大切なのは面白いかそうでないか。実際ちゃんとした話ではあるのだが、そこを論ずるのが目的ではない。
「山桜桃玉英。それがひぃおじいちゃんの名前です。元々は普通の人だったけど、戦争とかそんなので香港に行って、そこでなんかもう、バーン」
「1番大切な所でしょう、そこ」
「しょうがないですよ、それそこひぃおじいちゃんしか知らない場面だし。ひいひいおじいちゃんが知ってるのは、香港で牧師になったはずなのに帰ってこなくて、無責任に子供作って日本に送ってきたくらい。手紙はあったらしいけど、絶縁状だったらしくて内容は一切教えてくれなかったそうです」
山桜桃十郎(1920年代)当時30歳 100歳で死亡
山桜桃玉英(1950年代)当時30歳
??? (1970年代)20歳
山桜桃母(2000年代)30歳
山桜桃梅(2020年代)24歳
山桜桃杏
山桜桃李(死亡)
山桜桃十郎は玉英の父。
玉英出奔後にその子供(孫)を自分の元で育てた。
孫が梅母を産んだ時点で十郎80歳。100まで生きたと仮定すれば、梅母20歳までは存命だった。
梅からすれば十郎はひぃひぃおじいちゃん。十郎孫は生きていればまだ70歳でご存命?
ちなみに玉英は2020年代で丁度100歳。超ぴんぴんしてる。
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