平和に行きましょう。
見えない
「なぁ、なぁ。最近、なんか誰もいないのに突き飛ばされたり、触られたり、色々変なことが起きるんだよ」
そら豆をさやからちまちま取り出しながら、蜻蛉切のちいさな主は首をかしげてそう言った。燭台切や歌仙から、塩炒りや煮物に使うと言われて楽しみにして手伝っているが、作務衣の袖から覗く腕にはここ最近で増えた引っかき傷が目立つ。
「蜻蛉、また怪異なのかな?」
「怪異の類は、石切丸殿や青江殿の目が光っています。おおよそ、姿も表せない低級の動物霊でしょう」
「そっかあ。あ、そっちのザル取って」
「お気を付けて。やはり、もう暫く主の不寝番を務めさせていただきましょう」
「やだ」
「それは困りましたな」
だが、口程困りはしない。
沙は、「先生」と呼ぶ審神者から蜻蛉切についてかなり噛み砕いた説明を受けていた。
「あれは、元々戦の最前列で常に振るわれていた槍なのさ。日本に数多くの轟く名刀あれど、天下三名槍の蜻蛉切程人を殺めた武器はそうそうない。槍の刀剣男士は高練度になるまでろくすっぽ遡行軍相手に役に立たないが、練度を積んだ槍は鬼のように頼もしい」
「お姉さん、それは動悸と不整脈っていうんだよ。病院に行こうね」
ここまで見事な棒読みとチベットスナギツネもかくやな白い目は初めて見た、と後の鶴丸は語る。暑い日の出先で温かいコーンポタージュしか残っていない自動販売機を見た時だって、もう少しの慈しみはあっただろうに。なんだこの粗大ゴミ役に立たねぇなと口に出さないだけの優しさはあったはずだ。
「蜻蛉切」
あっ、飛び火した。かつてない幼い主の、ドスの効いた声色と滅多にない「蜻蛉切」の呼び方は、例え蜻蛉切が律儀な性格という事実があったとしても、天下三名槍をして居住いを正して冷や汗を垂らさせる威圧が込められていた。
「確かに近年の見習いによる本丸乗っ取り被害が凄いから、一番冷静に見習いさんを相手に出来ると思ったから許可を出したんだよ。それが、なんで私がこんなことをしている」
「誠に申し訳ございません…!」
本来、この場で最も幼い子供が場を仕切っている遣る瀬無さを思えば憤死物だ。本人ですら凄く戸惑って混乱しているのがありありとよく分かる。
「」
タイムスケジュール
7:00 起床。長谷部に身支度、朝食の準備を世話される。主に私室で一人で食べる
7:30 朝礼。廊下にある黒板にその日の予定を書き込むので賑やか。各々の張り紙もここに
7:45 部隊の見送りと内番。主に畑仕事や洗濯。たまに鶴(丸)が飛ぶ
8:30 執務。着替えをし、政府の必要書類や本丸内の資材管理等の確認。執務室に出入り禁止の者は割といる
10:00 昼食準備。大体歌仙と蜻蛉切、長谷部らの手伝い。台拭きや配膳準備
10:30 出陣部隊と通信。部隊の損耗具合や様子を確認し、進退を決める。たまにこの時点で帰還させる
11:30 昼食
12:00 後片付け。昼食を作らなかったメンバーが行う
12:10 午睡。誰かの部屋で容赦なく寝る。この間部屋の住人に好きに構われている
13:30 起床。米俵担ぎで移動しているか、今剣や粟田口に囲まれている二択
13:40 歌仙による手習い。飽きると今剣に誘われて逃げる。刀装作りや鍛刀もこの時間
15:00 出迎え。遠征部隊や出陣部隊のお出迎え。資材確認や刀装の具合を見て、必要なら手入れ部屋に放り込む
15:20 おやつ。大倶利伽羅と仁義無き戦いをする
15:45 後片付け。負けた方がする
16:00 万屋。散歩でもある。三名槍の他、宗三が侍って練り歩く。買い食いをしてバレる
16:45 馬番。飼い葉や水の用意
17:20 風呂。匂うのでそのまま入浴。日替わりで2名の短刀と一緒に入っている
17:50 雑談。その場にいるメンバーとテレビを見たり本を読んだり、まちまちに過ごす
18:30 夕食。配膳をし、全員で揃って食べる。普通のご飯なのにちょっとした宴会レベルでかなり騒々しい
19:20 酒盛り。酒飲みのツマミを横から食べながら駄弁る
19:55 蜻蛉切と書類確認。明日の予定を詰める
20:30 ボードゲーム等の遊びに誘われれば遊ぶ。無ければ自室で蜻蛉切と過ごす。大体誘われる
22:00 就寝時間。守るやつはあまりいないので、保護者系の刀剣男士による見回りが始まる
22:20 遊び疲れて寝落ちした沙良さんを私室か、見つけた当人が自分の部屋で寝かせる。たまに私室で寝ていても連れていく
※沙良さんが知らない間に見回り部隊が作られ、夜中の本丸内を見回っている。
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