平和に行きましょう。

まじふと


 マジフトには一切の興味もないのだが、全寮制寄宿学校へ入学してしまった主と会うには、テレビ中継まで行われて門戸が全面的に開かれるこの日ぐらいしか無い。着いて早々貰ったパンフはその辺近くを彷徨いていた女の子に笑顔を装って押し付け、さて確か主の居場所はどこだろうかと辺りを見渡す。大抵主の傍にはあの大層上背のある偉丈夫が離れないから、蜻蛉切さえ見つけられれば自動的に主とも会えるだろう。そんな算段で見つけた見覚えのある顔に浮かぶ顔を見て「あ、やべ」と明石は上げかかった口角をキュッと引き締めた。
 見つけた蜻蛉切は、簡単に言うならガチギレ5秒前といった形相をしていた。やばい。普段温厚でお茶請けを一緒に食べていたほわほわした顔ぐらいしか見ていないから尚のこと怖い。これなら長谷部を探した方が良かったかもしれないが、蜻蛉切さえ「これ」なのだから、長谷部はもっと恐ろしいことになっているだろう。とはいえ、ここで回れ右して帰る訳にはいかない。蜻蛉切だけに蜻蛉返りすれば、土産物と主の話を待つ故郷の仲間達が何の成果もない明石をタコ殴りにしてくるだろう。あゝ無情である。
「蜻蛉切はん?どうされたん、主も長谷部はんもおらんし、顔鬼みたいになっとるし」
「明石国行殿か」



「弟さんっスか?それとも沙くんもおじたんスか」
「おいラギーてめぇ」
 黒髪の色白い幼児は、チェカと仲良く手を繋いでぺちゃくちゃとお喋りをしている。沙はレオナ同様ベッドと仲良くしながらも、蜻蛉切に助けられながら体を起こした。
 ニヤニヤしているラギーを横目に、沙はいつもの真顔のまま言った
「いえ、息子です」
「……は?」「あ?」
「私の子どもです。2歳って意外と大きいですね」
「いやいやいやいやいや!?!?子ども!?アンタ子どもいるの!?蜻蛉切さん!?マジスか!?これ沙くんの時々出てくるやべぇ冗談ですよね!?」
「事実だ。そこにおられるのは東方の沙様が治める領地の次代様にあらせられる」
「はーーー!?!?!?!?」
「待て、色々待て。お前がいつの時の子どもだ」
「2年前……14の時ですよ。その時国で成人となりまして、家督と妻を持ち、その子を授かりました。蜻蛉、そういえば今日毬も来るんだったっけ」
「は、日本号からその様に」



「そりゃまぁ、私は東方の一領主ですから」
「当主さまが領地出てここにいて良いんですか、それ」
「名門校の肩書きはあって不足なしですから。妻と家臣が纏めている今、さしたる不安もありません」





















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