平和に行きましょう。

かごめ


かごめ かごめ

籠の中の鳥は

いついつでやる




おかしくなったきっかけなどいつも些細な理由からだ。初めに気付いておけば、と思えどそれは単なる後悔にしかならず、そして気付いていてもおかしくならずに済んだ自信など山伏にはない。

主である少女は、本丸の本邸ではなく畑と庭を挟んだ先にある離れを住処としていた。
男所帯となる中で少女一人なのだからそれ位の配慮はして然るべきという親切と、鍵や結界により機密保持には打って付けという打算が入り交じった政府からの贈り物で、少女は最上の信頼を置く近侍にのみ出入り自由の鍵を渡した。そこまでは構わない。
ただ、その近侍を交替制で務めていた陸奥守と山伏は、主不在で掃除を頼まれた日に見てしまったのだ。
現世での服を着る少女とやたら背の高い男が寄り添う一枚の写真。
見知らぬ男と親密な雰囲気をまとう少女は本丸では見た事もない色香を持ち、微笑んでいた。
山伏はショックを受けなかったといえば嘘になるが、主にもそういった人間がいても何ら不思議ではないと結果的に結論を出した。しかし陸奥守は少々事情が違ったらしい。初期刀として少女に唯一選ばれ、これまで苦楽を共にしてきた者としての優越感と自負があったせいで、現世での主を殆ど知らないという事実を叩き付けられ苦悩したのだ。
せめて、ここで話を聞いてやるべきだった、と山伏は後悔する。自身が納得してしまったが故に、陸奥守もきちんと理解するだろうと高をくくって苦悩する仲間を放ってしまった。
陸奥守は、主へと直接問いただした。そして少女との受け答えの末、喧嘩となり事の顛末が本丸中に知れ渡る事となってしまった。
そこから、全てがおかしくなっていったのだ。


結果から言えば、少女は隠された。腹に男の稚児を宿した状態で。


「そろそろ、であるか」
「そろそろ、ですねぇ」
山伏と女が、それぞれ視線を合わさずに呟いた。床に伏せる女はまだ少女とも見えるあどけない年頃だが、腹は臨月が近いのだろうと分かる程に大きく膨らみ、それを白魚のように柔い手で愛しげに撫でさする。そして山伏は、そんな母になろうとしている少女を労るように寄り添っていた。
「男の子でしょうか、女の子でしょうか」
「…………」
「どちらでも嬉しいけど、あの人に似てるといいなぁ…」
独白めいた呟きに、山伏は押黙った。
“あの人”と呼んだその声は確かな寂寥を含み、少女は孤独に微笑む。
この腹にいる稚児は、これから父親と会う事は決してない。会わない方が、稚児は。
「…主殿、これ以上は身体に障られよう」
「はい、山伏様」
山伏がそう言うと、少女は先程までの憂慮が嘘のように、朗らかに頷いた。いそいそと布団の中へと潜り込み、腹の稚児を抱くように小さく丸くなる。
艶やかな黒髪が散らばり、白い項が蝋燭に仄かに照らされる。
「では、おやすみなさい」
















































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