平和に行きましょう。
ライフゼロ
【主のライフは】新入りが無自覚鬼畜【もうゼロよ】
刀剣男士入りした鬼雨切御前が主を取っかえ引っ変えの如く引越しし続けた性質から、審神者に対しても「割とすぐいなくなる人間」としか見られない為、地味に辛辣な事を言い放つ審神者SAN値直葬案件と化した話
長期留守にしようものなら平気で「…えっ、あ、帰ってくるのか!?」と本気でびっくりする
本丸にいるのも、同派の村正と蜻蛉切がいるから。逆にずっと同じ主が新鮮過ぎて楽しいらしい。決して悪感情がある訳ではない
好きなのは同派と甘い物。嫌いなものは特になし
兄>>主と本丸の仲間とお菓子>>>(超えられない壁)>>主以外の人間
「わらわ、ちょっと気になっておるのですが」
同派の二振りとは似ても似つかぬ華奢な鬼雨切がこてんと首を傾げる。薄い桃色とも薄茶色とも見える柔らかな長髪に精悍だが愛らしさと稚さを残す顔立ちは、なるほど見ようによっては蜻蛉切と村正両名のいいとこ取りをしているように見える。
ともあれ、云百年振りにか再会した妹と心穏やかに過ごす時間を各々好きに堪能していた蜻蛉切と村正は、その「気になっていること」についてやや居住まいを正した。
「どうした、鬼雨切」
「村正兄様と蜻蛉切兄上はどちらもわらわの兄です。なれば、お2人のどちらが長兄で、次男なのでしょう?」
本丸や人型の暮らしについてなら先輩風、あるいは兄らしく先導してやろうとしていた2人は固まった。つぃ、とどちらともなく視線が合い、ふ、と微笑む。
「俺が長兄だ」
「ワタシが長兄デス」
一瞬の狂いなく発言が被った。
今度はやや鋭くなった視線が合う。村正は不敵な笑みで、蜻蛉切の口元はへの字に結ばれている
「何故デス。ワタシは世にある村正の集合体、蜻蛉切よりも早く作られたワタシもいるのデスから、必然的に長兄では?」
「へっ」
「人間なら確かにそうだろう。だが、国広殿や粟田口一派からしてそれは通用せん。本丸に馳せ参じた俺がお前と鬼雨切の世話をしたのだから、ここは俺が長兄となるはずだ」
「ちょっ…」
「ワタシ達の実装時期はアナタより大幅に遅れているのデスから当然でショウ!それはずるいデスよ!」
「えっと…」
「一期一振殿に倣えば、背丈のある者が長兄になる傾向がある。やはり背の高い者が…」
「その理屈は納得出来ません!」
「ならば誰の理屈なら納得できるのだ」
切れ味鋭くなり始めた語気と目付きに、今更「凄く暇だったから適当に聞いてみた」とは言えない鬼雨切は竦み上がる。予想よりはるかに長兄の地位に拘った2人は、その内ことの原因たる妹に目を向けた。鬼雨切は筋肉逞しい兄どもがこの上なく好きだが、しかし荒々しい雰囲気で迫られるのは恐ろしい。何せ甘やかされた妹である故。
「アナタに聞こうじゃありませんか」
「どちらが長兄に相応しいか…決めてもらおう」
「ぴい…」
身から出た錆とはこの事か、と人の身を得た鬼雨切御前は涙目で痛感した。
ここ最近、新参者の鬼雨切御前がやけにしょげている様子が見える。やってきた当初は、連れてこられた場所に蜻蛉切や村正が揃っていたことに狂喜乱舞して、その後も意外と睦まじい兄弟愛を見せていたのだが。
「何やってんだあいつら」
「なんか、蜻蛉切と村正でどっちが長男か決めるんだって」
「アホみてぇだな」
同田貫と御手杵の目の前、馬小屋には髪を食まれながらも健気に世話を焼く鬼雨切御前がいる。それを挟むように蜻蛉切が飼い葉を山ほど担ぎこみ、村正がピッチフォークを振るって掃除している。傍目はいつも通り仲のいい村正一派だが、事前情報を知っていれば割と結構別の絵に見えるのだから不思議だ。
鬼雨切御前は参っている様子だが、2人とも出陣や日常生活自体に影響を出さない範囲で喧嘩しているせいか、審神者も周囲も地味に口出ししにくい状況だった。
「よーう鬼雨切の」
「日本号さま!わらわ今更冗談とは言えないのだが!?」
「まぁそもそも兄弟刀って訳じゃねぇからな。あいつらの気が済むまでやらせて、ほとぼり冷めるのを待つしかねぇな」
「ううぅ…でも、今はもう兄様と兄上が仲良く座ってお茶が出来ぬのです…。2人が楽しい顔をしておられるなら、わらわも笑えます。でも、ちょっとだけ怖いのです…」
「……あーーー…、まぁあとちょっとの辛抱だ。なんなら、お前が今すぐにでも言えば止まるだろ。止まらねぇなら外野の仕事だ、すぐに言いな」
「ううううう…流石大納言さま…ほれる…」
「おう、酌までしてくれるなんて良い女だな」
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