い来るかの日に願う
朝食用に用意したコップを、思わず取りこぼしそうになったのは、朝のニュースを見た時だった。
車体の爆発
新婦の自殺未遂
奇跡的に一命を取り留めた
確かにニュースで挙げられた女性の名前は加門初音さん、そして無事一命を取り留めたと言われた女性の名も・・・
「よ、良かったぁぁ」
安心したことで力が抜けたのか、私はその場でへたりこんでしまった。
「まぁどうしたのあんた、そんな所で座って」
「ままどうしたの?おなかいたい??」
ニュースを見ながら座り込んで泣いている私に、母とはじめには朝から心配をかけてしまった。
「うぅん、大丈夫!!ちょっといい事があったんだ!」
そう言う私に母は心配させないでよ!紛らわしい!と怒られてしまった
「おなかいたいちがう?ままげんきー??」
「はじめー!心配してくれてありがとー!ママ凄い元気!!今日の夕飯ははじめの大好きなハンバーグだよー!」
「ほんとー!!?ぼくままのはんばぁぐ大すきー!」
この笑顔で私は今日も1日頑張れます!!!
ってなわけで朝食も家族全員しっかりと食べてはじめを幼稚園まで送ると私も仕事へ向かった。
職場ももちろん今朝のニュースで持ちきりだった、あたりまえか。
経営してる店舗へ依頼のあったお客様が車で爆発事故起こして自殺未遂。噂にならない方がおかしい。
私にも話題がふられたが、当たり障りない答えを返しておいた。
「それにしても消防署に誤報があったって奇跡だよなー」
「だれが誤報したか分かってないんでしょー?」
ギクりと一瞬背中が揺れた・・・。
そう、なにを隠そうその誤報をしたのは私だったのです。
バカ正直にこれから自動車事故が起きます!!火を消しに事前に来てください!なんて言えるわけがない為、足の着かないよう家から遠め公衆電話で消防署に、とある建物付近の駐車場から不審な煙がでています。火は見えませんが嫌な臭いもするので見てもらえませんか?と少なくとも家事でなくとも何か見に行かなくては分からないような事を言っておいたのだ。
作戦は成功、無事にとは言えないが初音さんの自殺を止めることには成功した。
彼女にとっては止めて欲しくないことだったかもしれない。
それでも私にはただ彼女を見殺しに出来なかった。まだ彼女にならやり直せる、きっと新しい幸せを捕めると。
初音さんの事件から数日、メディアの騒ぎも落ち着きはじめた頃。私は米花中央病院に来ていた。初音さんがらここに居ると聞いたからだ。
手元にはお見舞いの花束
病室でどう彼女の病室を訪ねようか悩んでいた時、階段の影に伴場さんをみつけた。こっそり後を付けてみれば、案の定そこには初音さんの病室。
変に待っていて病院側から変な目で見られても困る為私は伴場さんへ話かけた。
「あの、そこ。初音さんの病室であってますでしょうか?」
私の声にこちらを振りまいた伴場さんは、少しだけ怪しむような目で見ていた。
「なんだあんたは、まだ俺達に言いたい事でもあんのかよ」
その目は、不信感と怒り。それから疲労に染まっていた。
実の兄弟との結婚未遂、加えてその兄弟の自殺未遂、きっと彼はマスメディアの格好の餌食となってしまったのだろう。
そんな彼も、私の表情と手元の花束を見て私がメディア関連でないと分かったのだろう。少しだけ表情が和らいだ
「あ。もしかして初音の友人かなにかでしょうな、すみません俺、ちょっと最近色々忙してピリピリしてて・・・」
そう言って目を泳がす伴場さんは目の下には、もう何日寝られていないのだろうか、濃い隈が出来てしまっていた。
ここで下手に友人などと嘘をつけばあとあとバレた時になんだとなってしまうであろう。下手に誤魔化さず、私は自分の事は素直に言うことにした。
「私、米花プランナー会社運営の者です。実は加門様のウェディングプランにつきまして少しだけ関わらせて頂いたことがありまして」
そこまで言うと、伴場さんはなんと言って良いのか分からないような顔をしていた
「なんでそんな人がわざわざ」
「私、どんな女性にも幸せになって欲しいんです。幸せそうな女性が、綺麗な花嫁姿になって、大切な方と笑いあっている姿を見るのが好きです。」
「だからなんだ、俺と初音を笑いに来たってのか?幸せになれなかった俺たちを馬鹿にしに来たってってのかよ!!」
「私は、初音さんなら幸せになると思っています」
「はぁ?」
「彼女はまだ生きている。大切な婚約者は消えてしまったけれど、彼女には今、血の繋がった大切なご兄妹がいらっしゃいます、1度深くまで信頼し合ったお2人ですもの。二人揃えばきっと今度はどんな困難にだって立ち向かえると思うんです。」
それに・・・と私は続ける
「愛おしい妹さんの綺麗な花嫁姿、今度はちゃんと見たくありまさんか??」
真っ直ぐに彼の目を見て言う、これらは紛れもない私の本心、たとえ馬鹿らしいことだと分かっていても、伝えたかったこと。
「そう、そうだな、綺麗に決まってる。なによりも俺が一番に愛した、最高の女だ、誰よりも綺麗で、誰よりも幸せになれるさ」
「えぇ、その際はまた、当店を是非ご利用ください!!とっておきのプランをどんな低価格予算でも通して見せますよ!!」
ない力こぶをつくりガッテンといわんばかりに腕をあげると、彼は可笑しそうに少しだけ笑った
「あぁ、その時は俺も世話になつていいかな。初音には叶わないだろけど、きっと綺麗な花嫁さん連れていくよ」
「おまかせください!!その時はその花嫁様が世界で一番幸せと言える花嫁にして見せます!」
その後、伴場さんと初音さんへ持ってきた花束を花瓶へ活けた。
個室でただ静かに眠る初音さんに小さくお辞儀をしたあと、私は帰りますねと伴場さんへ伝えたかった
「今日はありがとうございました、あと、失礼な態度とってすみません。よければまた今度、初音の意識が戻ったら来てやってください。」
そう言った伴場さんの顔は、であった頃よりも晴れやかな顔をしていた。
そしてい来るかの日、幸せそうなカップルが2組、ダブルウェディングのプランを持ち込んで来たのは、また別のお話。