あなたの欠片へ思う
初音さんの事件からというもの、あれから特に何かが起こることも無く、平凡に日常は進んでいった
。
仕事が早めに終わった私は、いつもは変わりにはじめのお迎えに行ってくれている母に連絡し、自分で幼稚園まではじめを迎えにいった。
その帰り、せっかくだからはじめの好きなものでも作ろうと一緒にスーパーへやってきたのだった。
「はじめ何食べたい?」
「えっと、んっとねぇ・・・ママの作ったもの何でも美味しいから何でもいーよ!!」
なんだようちの息子天使かよ、天使だったわ・・・
「そっか、お母さん嬉しいな!嬉しいから今日はハンバーグにお花の目玉焼き乗っけて食べよっか!!!」
「ほんとに!!はなまるハンバーグ!!!!いいの!!?」
「そうだー!今日は花丸ハンバーグだぞーー!」
やったー!とはしゃぐはじめを見て微笑みながら、手に持つカートの籠にひき肉やパン粉、卵を入れていく、ついでに朝ごはん用のベーコンやパンも買っていこう。
「でねーー!きょうね、よーちえんでね!!」
カートの椅子部分に座りながら今日幼稚園であったことを楽しそうに話すはじに相槌をしながら牛乳コーナーへ来た瞬間、私の顔が笑顔から一変、一瞬で真顔になり顔から血の気がひいた。
落ち着け落ち着け、大丈夫だ。まだ私は一切彼と接触も持ったことないし変装前の彼とも1ミリも接点はない!!つまり赤の他人、こちらが素通り出来れば所詮私なぞ彼にとってただの通行人Dくらいの反応だろう。
そうと決まればとてもじゃないが牛乳コーナーがとてもじゃないが似合わないその人物との距離に気をつけながら、いつも家で飲んでる牛乳をカゴに入れていその場から通り過ぎようする・・・
「ママーー!今のお兄さんね!!きれいなみどりいろのお目目してたー!!!」
はじめくぅうううううん!!!!
ワクワクしたようにとても楽しそうなら笑顔ではあるけど!君のその父親譲りと言わんばかりの素晴らしい観察眼やめてーー!!
なんで瞳が見えないように目を細めて生活してる人の瞳の色を通り過ぎる一瞬で見てしまったの!!??
このまま通り過ぎてしまえば良かったものを、私はなにを思ったのかその人物の方を見てしまった。
ピンクがかったふわふわな茶色の髪に綺麗ないで立ちをしたその顔には恐らく度が入っていたいメガネがかけられている。
身長は高くその体は首元まであるタートルネックに包まれている。
沖矢昴!!!
お前さんもFBIならそんな牛乳売り場で瞳の色が見えるほど目を開いて牛乳の賞味期限見てんじゃねーよ!!
似合わねーよ!牛乳持ってる姿が!!激しく似合ってない!!!
「こら、すみません。この子思った事とかすぐ口から出てしまって」
目が合ってしまったからにはスルーは出来ない、申し訳なさそうに沖矢さんに一言謝罪しておく。
「いえ、構いませんよ。それにしても凄いお子さんですね、僕が目を開いたのはほんの一瞬。その一瞬にと降り際に瞳の色を見たとは、とても素晴らしい観察眼だ。」
そうですね!!私もそう思う!!ほんと誰に似たんだろうね!!!(泣
はじめは沖矢さんが言ってることがまだ上手く理解出来ておらずその頭の上には?マークがいくつも浮かんでいる。
「えっとね、このお兄さんが、はじめは凄いなーって。良く見てるなーって褒めてるよ」
そう伝えてあげればはじめは嬉しそうにえへへと笑った。
可愛いけどこれは気をつけさせなければ何時か私事故るわ。
「もっかい見たいー」なんぞの仰るこの小さい探偵息子を宥め極力沖矢さんにはじめの顔が見えないようさりげなくカートを自分の方へ近づけた。
「多分偶然だと思いますけど、うちの子変わった事とか小さな変化見つけるのが大好きで周りをよく見てることが多いんです。気を悪くさせてしまったなら申し訳ありません」
もう1度謝罪をぶつけてみれば、「いえ、本当に気にしないでください」と手を前にした沖矢さんだが、それにしても・・・と続け何かに関心したような表情ではじめをみた。
「お子さんは素晴らしい観察眼をお持ちの様だ、貴女かお父様が何かそう言うことがお得意なのですか?」
なんか軽く目をつけられてるーーーーーいやだなーー怖いなーー逃げたいなー!!!!
そうだよー!!この子のお父様は嫌というほどこういうこと大得意だと思いますーーー!!!!
「いえ、私はそういったことにからっきしで、父親も特にそういった事とかは・・・」
どこで墓穴を掘るかは分からない、あまり言葉を多くせず最低限で会話を済ませたい・・・!!!
「そうなんですね、それより貴女・・・どこかでお会いしたことありませんか??私と」
むりです、死んでしまいます。お家返して。
恐らく今背中が冷や汗でいっぱいになろうとしている。
耐えろ私、頑張れ私。落ち着け、下手に即答するな、考えろ、他人でいろ。
私は何かを思い出すような素振りをしながら少しだけ沖矢さんの顔を見ると申し訳無さそうな顔をして答えを紡ぐ
「えっと、すみません。恐らく初対面かと。いかんせん私顔を覚えるのが苦手で」
もしかしてこのスーパーですれ違ってるのかもしれませんね!
なんて恍けるように笑ってみれば
沖矢さんは
「そうですね、この近辺の方はこのスーパーを良く利用される様ですし、もしかしたら僕もそれで勘違いしてたのしれませんね」
としれっと返してきた。絶対カマかけられてた。これ即答で違いますとか言ってたら怪しまれてるパターンだったと思う、なんでだ、私なんもしてない・・もしかして誤報がバレた?
いやいやそんなはずない、あんなポツンとある公衆電話誰も見てるはずないし周囲には十二分に気をつけたはずだ。
早く逃げたいと思っていれば座っていたはじめに服の裾をくいっと捕まれた。
「ママー!にゃんにゃんたんていはじまっちゃうーー!かえろー!!」
もう短いはりが6になっちゃうー!!と足をばたつかせるはじめに、良くやったと心の中で褒め称える。
「そうだね、早く帰ろっか。それじゃ、すみませんでした。私達はこれで失礼しますね。」
後腐れなんさ残してやるかと言わんレベルで速攻でカートを反転させレジへ向かう、名乗る暇なんか与えさせない。
背後に嫌な視線を感じるまま、はじめとすぐさま会話を始めた。
そしてもうこのスーパーはあまり利用出来ないなと心の片隅で思った。
あと少しははじめにお口チャックを身につけさせなければ・・・。