「キバナって見た目に反して尽くすタイプよね」
今まさに私よりも遅くに帰ってきたのにも関わらず私の夕飯の支度をしているキバナに向かって呟いた。普通ならここで嫌味の一つや二つ出てきてもいいところだが、キバナはさして気にした風もない。
「一途な良い彼氏様だろ?」
エプロン姿でお玉を持つ姿は彼氏というよりもお嫁さんに近いような気もしたけれど一途には違いないのでとりあえず頷いておいた。
それに満足そうに笑ったキバナは料理の続きに戻っていく。私はそれを眺めながらヌメラのぬいぐるみを抱えてソファの上でゴロンと横になる。
最初にキバナと出会った時はたぶん今のような感じではなかったと思う。もっとこう何というかドラゴンストーム然としていて、とてもじゃないが女の世話を焼きそうにはなかった。まあそういうクールで仕事に熱心なところがかっこいいなあと思って惚れたのだけれど
元々は私の方が先に好きになってアタックしまくって付き合ったのに、いつからかはわからないけれどすっかり立場が逆転してしまった。まあでもあのままだったらいつか冷めていたかもしれないなとも思うからこれはこれで好都合かもしれない。
すっかりキバナの献身に慣れ切ってしまった私はまるで倦怠期知らずだ。世間一般でキバナは性癖のデパートだなんて言われているらしく思わず笑ってしまったけれど、私にとってもストライクゾーンど真ん中なので案外当たっているのかもしれない。
「なーに笑ってんの?」
ちょうど夕飯が出来上がったらしくエプロンを外しながらキバナが歩いてくる。
「んー、私がキバナを大好きすぎて運命感じちゃうなって話かな」
「へー可愛いこと言ってくれるじゃん」
寝転ぶ私にキバナが覆い被さってきて触れるだけのキスを落とされた。間近で見るキバナの顔が綺麗すぎて何だか恥ずかしくなってしまう。照れ隠しに落ちてきた髪がくすぐったいと言って押しのけると逆にドスンとのっかてくる。
「ほらほらオマエの大好きなキバナさまだぜ」
「重たいって〜」
そのまま二人で揉み合っているとソファから落っこちて二人とも頭を打ってしまった。タンコブをさすりながら何も面白くないのになんか笑った。
こんな風にイチャイチャするのは、あんまり好きじゃなかったはずなのに今は楽しいと思ってるから不思議だ。キバナといると私の知らなかった一面が見えてくる。
「ねえ、キバナ」
「ん?」
「ずっと私の大好きなキバナでいてね」
その言葉にキバナは一瞬驚いたように目を見開いて、とても幸せそうに表情を蕩けさせる。
「任せなよ。オレさま一途だからさ」
それさっきも聞いたってと突っ込みを入れると、やっぱ気付いてないんだなとよくわからないことを言われた。