かえ、…フランさんの部屋の扉には、ファンシーな蛙の絵が描いてあった。
「…」
なんだこれ。
か、…フランさんの趣味じゃあ…ない…よね?うんまあ出会ったばかりだから言い切れないけど多分!いや絶対!
「それ、あいつが描いたんだぜ」
ベルフェゴールさんが、ニヤニヤしながら言った。
あいつ?あいつって、ルッス姉のことかな…。
「フランが」
「!?」
「とんでもねー嘘つくんじゃねーですよー」
「!?」
ベルフェゴールさんの後ろからにゅっと左目だけ出したフランさんに、心臓が大きく跳ねた。
ほ、ホラーだ。
「てめーが描いたくせによー」
えっ、ベルフェゴールさんうまっ。
「そーだっけ、記憶にねーな。うしし」
「まじ死ねよ」
「てめー先輩にそれはねーだろセンパイに。」
「はいはい先輩まじ尊敬ッス。リスペクトしてますから。リスペクト(笑)」
「…」
ベルフェゴールさんは、機嫌良さげだった口をへの字に変えて、フランさんを(目は見えないけど)睨みつけた。
うーん、仲がいいなあ。
「で、ガキ二人がなんの用ですかー」
「センパイだっつってんだろ」
「ガキ先輩」
「お前…」
私はほとほと困ってしまっていた。話が進まない。
いや、なんていうか、二人が仲良く喧嘩しているのを見てる私の虚しさったらないよ。さみしい。
「…飯持ってきてやったんだよ。後輩思いの優しー先輩が」
「おーまじですかー」
「ありがとうは?」
「アリガトウ。」
「しし、せーぜー感謝しろよな」
いやあ…すごい棒読みでしたけど。
「…?ていうかこれ、ちょっとくさくないですかー?」
「は?お前、オカマに殴られるぞ」
「いや……刺激されるようなっていうか…嗅ぎ慣れた香りが……」
「!……さあ?食ってみればわかるんじゃね?」
ああああああああ。
ベルフェゴールさんの微笑み(というには邪悪すぎる!)が深まった。
「はいはい、ありがとうございまし、たっ!」
「そうはさせるか!」
勢いよくドアを閉めようとしたフランさんを見透かしたように、ベルフェゴールさんが左足を滑り込ませた。
「…足どけてください」
「しししし、やーだね」
ベルフェゴールさんに腕を掴まれて、中に無理矢理入らされた。
なんていうか、ご飯を落としていないのがすごいです…。