「…」
「…」
「…」
「…」
き、気まずい!
ただいま、わたくし五十嵐 美優は、ザンザスさんのお部屋にいます!
今日はみんなお仕事らしくて、唯一家でお仕事をしているザンザスさんのお部屋でお留守番なのだ。
高そうな机の上に置いたグラスを、水滴が伝う。ふかふかなソファに座ってストローからオレンジジュースを飲みながら、ザンザスさんをちらりと見る。
部屋のすこし奥のほうで書類と睨めっこしていたザンザスさんが、視線に気づいたのかこちらを向いた。鋭い赤い瞳と目が合う。
わ、わわ。
慌てて前を向いて、またオレンジジュースを飲んだ。
「…」
「…」
う、ううう!なんだこの沈黙は!わたしさっきからジュースしか飲んでないよ!他にやることないし!ジュースとても美味しいです!
ぼへっと座っていると、ザンザスさんが向かいのソファに座った。
お仕事終わったのかな。
長い足をゆったりと組んで、腰を沈めた後、わたしの方を向いた。どきっ。ザンザスさんに見られたら緊張する。
「…」
ふい、と視線をそらされた。な、なんかショック。
「慣れたか」
「え?」
「…ここには、慣れたか」
「はい、みんなやさしいです」
フランさん以外は!!フランさん以外はね!!!
「そうか」
「はい」
…。
またシーンとしてしまった。どうすればいいのわたし。
ちゅー、とジュースを飲んでから、顔をあげてザンザスさんを見た。
ソファに座ったまま腕を組み、目を閉じている。
うーん…。
なんだか最近は全然会ってなかったけど…やっぱりザンザスさんといると落ち着くなぁ。
沈黙は気まずいけど。
…。
おちつく、なあ…
ふ、と目を開けた。
あ…あ? …ん!?
寝てた!?
ふと体を見ると、毛布がかかっていた。
誰がかけてくれたんだろう…。
なんてぼんやり思いながら、ふと横を見た。
!!!!!!!!??
驚きすぎてソファから落ちるかと思った。
それに不機嫌そうに眉を寄せるザンザスさんに冷や汗をかく。
っていうか、え?ええ?どういうこと?
わたしが寄りかかっていたのはザンザスさんでした。
え?うん…え?どういうことなの。
まさか毛布かけてくれたのって…ザンザスさん…?
ていうかなんで同じソファで寝てるの…?
混乱しながら自分の右手を見ると、…うわああああああ!!
ザンザスさんのシャツをしっかり掴んでやがるうううううう!
なにが「なんで同じソファで寝てるの?」だよ!!わたしがそうさせたんだよ!!
ばか!わたしのばか!!
…ザンザスさん起きないな…。
これわたしどうすればいいんだろう…。
ちょっと揺らしてみたけど、起きる気配がない。
…うーん、起こすのも悪いかなあ。
そう思って、もう一度寄りかかった。わたしも寝ちゃおっと。