ほのぼの

ザンザス視点


「…」
「…」
「…」
「…」

沈黙が、部屋を支配する。
溜まった書類を片付けながら、俺はちらりとガキを見た。

カスどもが、「心配だから部屋においておけ」とうるさいので入れておいたが…。
なにも話さない。
二人で黙ったまま、時間だけが過ぎていく。

ガキは、ジュースを飲みながらじっとソファに座っていた。

その姿をしばらく見ていたが、視線をガキから外した。…さっさと済ましてしまおう。


黙々と書類をこなしていたら、ガキの方から視線を感じたのでそちらを向いた。
ガキのデカい目と視線がかち合うと、ガキは慌てて俺から目をそらしてジュースを飲んだ。

「…」
そして黙った。
…ガキの考えることは理解不能だ。



ふう、と息をついた。ようやく終わった。
カスどもは毎回毎回面倒事ばかり起こしやがる。

椅子から立ち上がり、ガキの向かいのソファに座った。
足を組んで、深く腰を沈める。それから、向かいに座るガキを見た。

不思議そうにこちらを見るガキの純粋な目に、ガキと出会った日のことを思い出した。
あの時と同じ目だ。
…何もかもを見透かされるような。

「…」
耐えられなくて、目をそらした。
…あいつらも、こいつを気に入っているらしいしな。まあ、連れてきてよかったんだろう。

「慣れたか」
「え?」
話しかけられたことに驚いたらしいガキに、面倒だがもう一度言い直してやる。

「…ここには、慣れたか」
「はい、みんなやさしいです」
言い切るわりには微妙な顔をしている。…ああ、フランか。
ガキとガキは馬が合わないらしい。

「そうか」
「はい」
無理をしている様子はない。

ソファに座ったまま腕を組み、目を閉じた。遠い町の賑やかな音が微かに聞こえる。

それから目を開けると、ガキが眠っていた。


……。一瞬だな。

仕方がないので、毛布を持ってきてかけてやった。

それからすぐに向かいのソファに戻ろうとした。

グイッ

「?」

何かにシャツが引っかかったらしく、後ろに引かれた。
チッと舌打ちをして、それを外そうとした。

「…ドカスが」
ガキが、俺のシャツをしっかり握っていた。

外そうとしたが、外れない。無理に外して泣いて起きるのも面倒だ。


最近寝ていなかったからか、ひどく眠たい。

もういっそ、このまま眠ってしまうか。
そう思うが早いか、ガキのとなりに座った俺は、寄りかかってくるガキの体温を感じながら、目を閉じた。