ああああああああああああああ!!
わたしはわたしはわたしわああああああ!!!
夜、ふわふわふかふかのピンクのベッド(天蓋つき)の上でゴロゴロしながら悶える。
思い出される、お昼の「あのこと」。
そう!!!!わたくし、五十嵐美優は、ザンザスさんに寄りかかったまま眠ってしまったのです!!!
しかも、夕方まで。
ザンザスさん、動かないでお仕事してた。ザンザスさんのお仕事は、一度終わっても、次々入ってくるらしい。
起きたあと、まどろみに浸ってうとうとしていたら、向かいのソファに、引きつった顔のスクアーロさんがこちらを見ているのに気づいてから飛び上がった。
爆睡してました、わたし…。
ああああああああああ!!!!
ぼすぼす!とベッドに寝転がったまま、足をバタつかせる。
クッションに顔を埋めて、そのままぐりぐりした。
あああああああもう!!もう!!!
はあ…。
よし!もう寝て忘れよう!そうだ!そうしよう!
これまたふわふわな布団を頭まで被った。
よし、寝よう。
寝……られない!!!
あんなに長い時間寝てたからだ。
ぱっちり。
どうしよう…。
仕方がないので、談話室に行くことにした。
誰か居るかな。
…?
談話室の前に来てから、首を傾げた。電気ついてる。
そっと、ドアを開けた。
誰もいないのかな?電気つけっぱなしにしてたのか。
ゆっくり中に入る。
誰もいないみたい。
ふう、と息を吐いて談話室の机に置いてある時計を見た。
2時25分。
あーあー、寝ないと明日もたないよ。
お昼寝なんてするんじゃなかった。
そんなことを思いながら、ソファに座る。
このお屋敷のソファって、(わたしの部屋のはふかふかだけど)ほとんど革張りで座り心地がいいなぁ。
座り心地を堪能しながら、後ろに背中を預けた。
ぼすっ
…?
なに?いつもと感触が違う?
そう思いながら振り返った。
うわあああああああ!
驚きすぎて口から叫び声が出そうになったけど、慌てて抑えた。
なぜここにフランさんがいるの!!!
立ち上がって、それからまじまじとフランさんを見る。
横を向いて寝ているフランさんの頭にはいつものカエルがなくて、さらさらの緑の髪が室内灯の光を受けてきらきらと輝いている。
…。えい。
鼻をつまんでみた。
…身じろぎさえしない。
これは爆睡ですな。と思いながら、床に座ってフランさんが寝ているソファに顔を乗せた。フランさんのまつげの本数も数えられそうだ。
綺麗な顔してるなぁ。
…幸せそうに眠るフランさんの顔を見ていたら、なんだかわたしも幸せな気分になってきて、そっと目を閉じ…
「なぁに見てるんですかー」
つむっ
「んぶっ」
ばちっと目を開けたフランさんに鼻をつままれた。
「ったく、油断も隙もないですー」
「ん゙ーっ!」
フランさんの手を鼻からはずそうとしたけれど、力がつよ…つよ……強いな!!
「…」
フランさんは、そんなわたしを見てフッと鼻で笑うと、ようやく鼻から手を離してくれた。
痛かった!…でも鼻が伸びた気がする。
さすさすと鼻をさすっていたら、フランさんがこちらをじっと見ていることに気づいた。
「なに?」
「寝ないんですかー?」
「おひるねしたからねむくない」
ばかですかー、とフランさんが呆れた顔をした。返す言葉もないです。
フランさんはもう眠るつもりはないようで、ソファに座っている。
「おへやでねないと」
「は?」
「かぜひくよ」
フランさんが、急に疲れた顔をした。
な、なんだ?
「ミーの隣の部屋、スクアーロ隊長なんですよねー。あの人いびきがうるさくってうるさくってたまりませんー」
ああ…。スクアーロさんっていびき酷そう。
「嘘ですけどー」
嘘なの!?
スクアーロさん、納得しちゃってごめんなさい!
「なら、どうして?」
「…特に理由なんてありませんー」
嘘だぁ。何かあったに決まってる。
…ん?
「なにこれ」
「!!?」
フランさんが眠っていたソファの下に、四角くて薄い、プラスチックの箱が落ちていた。
「あっ、ちょ、」
慌ててそれをわたしから奪おうとするフランさんの腕を避け、その箱をじっくりと見る。
…ホラーゲーム?
日本のとは違ってとんでもなくスプラッタな表紙だ。グロそう。
…あ、わかっちゃった。
「ふらん」
呼び捨てになっちゃった。
「…なんですかー」
「こわくてねれなかったんだ」
「…そんなわけないじゃないですかー」
「こわいんだ」
「…」
黙っちゃった。
わたしはホラーゲームとか得意なほうだからなぁ。
しばらく二人で黙って座っていたら、フランさんがそのゲームを持ち上げた。
「しじみ」
「みゆ」
「…みゆ」
おっ、ようやくしじみじゃなくなった。
「ミーの部屋に行きますよー」
「どうして」
「このゲームやりますー」
「…いいの?」
「なにがですかー」
「わたしこわいのすき」
「…」
フランさんがこっちを睨みつけた。
「ミーは別に怖いのが嫌いなわけじゃないですー。ミーは自分の睡眠管理もできないみゆが可哀想になったから好意で一緒に居てやろうかとしてるだけでー、別にゲームが怖くて眠れないからだとかそういうんじゃないですからー」
「しかたない」
フランさんが可愛かったので、思わず笑ってしまった。
「かわいそうだから、いっしょにいてもらう」
「…そうした方がいいですー」