仲良くなっ……た?

 
 
「……」
「……」
暫く無言で見つめ合って(?)いると、ルッスさんが急に思い出したわ!と声を上げた。

「今日の晩御飯のためにお買い物行かなきゃ!」
目にも留まらぬ速さで走っていったルッスさんに、焦る。


えええっ、ベルフェゴールさんとフラ、かえるさんとさんにんっきり!?

「…」
「…」
「…」
な、なんだこの沈黙。


「…まあ、仕方ないですねー」
かえるさんが溜め息まじりに呟いた。

え?仕方ないって、なにが?

「連れてきちゃったもんは仕方ないですー。全っ然気に食いませんけどー」
「お前ガキかよ」
「黙れ堕王子」
「てめぇ殺すぞ」
一気に怖い雰囲気でいっぱいになった部屋で、私はどうしようかと一人で焦る。


「ゔぉ?なにしてやがんだぁ?」
「!!!!」
か、神様か!!!!スクアーロさん!!

「あー?別になんもしてねーよ」
「なにもしてませんよー。ただ堕王子がチョッカイかけてきただけでー」
「カッチーン」
えええええ、せっかく解放されたかと思ったのに!

「てめぇらなぁ、こいつがびびってんだろぉ」
スクアーロさんが、私の背中をぽん、と押した。

「け、けんかよくない!」
両手で握りこぶしを作って二人を見上げた。

「…」
「…」
なにやら不思議な視線をいただいた。

な、なんだその生温い目は。


「…いいんですかねぇ」
かえるさんが、ぼそっと呟いた。な、なにが。

「いいんじゃね?」
ベルフェゴールさんが、しし、と笑った。


なにがよ!と思ったけど言えない。
ベルフェゴールさんの手にナイフが握られている。こわい。


「……まあ、いいんでしょうねぇ」
かえるさんが、私を見てなにやら頷いた。

「…なにが」
あっ、声に出ちゃった!
慌てたものの、答えが欲しいのは本当なので二人を見上げる。

「……ま、いずれ分かるって!」
語尾に音符がつきそうな勢いで、ベルフェゴールさんが言った。
わしゃわしゃと髪の毛を頭ごとかき回されて、目が回る。


「…ずいぶん楽観的ですねー。まあ、ミーがこんなくそガキにどーこーされるわけないですけどー」
「お前もじゅーぶんガキだよ」
うしし、とベルフェゴールさんが笑った。


また始まるのかな、とハラハラしながら二人を見ていたら、フランさんは溜め息を吐いて立ち上がった。


「あ?お前どこいくわけ?」
「独占したいくらいミーが魅力的なのは分かりますがー、ちょっとやめてもらっていいですかねー。ストーカー死ね」
「てんめぇ……」
「うわーセンパイが怒ってるー。こわーい」
きゃー、と棒読みで悲鳴を上げて、フランさんは部屋から出て行った。


しん、と静かになった部屋で、スクアーロさんが溜め息を吐いた。
幸せが二十個くらい一気に飛んでいくような、深い溜め息だった。

「ベル、いい加減大人になれぇ」
「大人だし」
「そんなんだからお前はいつまでたってもぺーぺーなんだよ」
ベルフェゴールさんが、ベッと舌を出した。

「ウルセー、アホのロン毛たいちょーのくせに」
「てめえええええ!それをもう一度言ってみろ、腹かっぴらくぞ!」
「ぺーぺーの言うことマトモにすんなし」
スクアーロさんがうぉおぉい!と(濁点がいっぱいついてたけど、表しがたい。)叫んだ瞬間、ドアが乱暴に開いた。

バン!と音をたてるそれに、びくりと肩が跳ねる。

あ。
ザンザスさんだ。


ザンザスさんは、どうやらご立腹のようだった。

固まってしまったベルフェゴールさんとスクアーロさんを睨みつけながら、低く唸るような声で言った。



「肉」



わたしにはなにがそんなに重要なのかは分からなかったけれど、ベルフェゴールさんは「やべ、」と呟き、スクアーロさんは「うぉ…」と声をもらした。

部屋に、重い沈黙が舞い降りた。