お食事とマナー

……。

………。


無言だ。時々、カチャ、と音がするだけで、皆静かにご飯を食べている。


ど、どうしよう。
わたしも美味しそうな匂いを放つご飯は食べたいけれど、この雰囲気の中ではがっつけない。

なにより、その…恥ずかしながら、て、て……。



テーブルマナーがわからない……!!!!!



ガチャ、……キッ、ガッ、…。
静かな中で、わたしの食器が奏でる音。

隣に座るベルフェゴールさんがたまにこちらにちらりと目をやる。

うわああああもう嫌だ!
み、みんな嫌だって思ってないかな…!

で、でも美味しい。



ああ、みんなのマナーを見て真似しないとなぁ、と思いながら、私はお肉を口に運んだ。









おなかがいっぱいになって、椅子に座ってふうふう言っていたら、後ろから誰かにわきの下に手を入れられて抱き上げられた。

「!?」
「しし」
「…?」
「蛙んとこ行こうぜー」
かえる…?

「かえるさん」
「そうそ。かえるさん」
ああ、そうか。
そういえば、晩御飯なのに来なかったなぁ。

「ごはん、もってくの?」
「おー。王子特性トッピングつきでな、っと!」
うわ。
ベルフェゴールさんがどばーっと、フランさんのご飯に胡椒をかけた。

「っくしゅ!」
「っくし!あーやべ、こっちにも、来っくしょん!」
「お前馬鹿じゃねーのかぁ…」
スクアーロさんが、呆れたように言った。


「ぐし、ん、じゃ行こうぜ」
ベルフェゴールさんがお皿を持って、私がフォークやコップが入った箱と飲み物を持つ。




「…」
「…」
二人で長い廊下を無言で歩く。上質(だと思う)なふかふかな絨毯を靴で踏むのはなんだか申し訳ないが、これが普通なのだ、仕方がない。

「なあ」
「…ん?」
「蛙って、喰ったことあるか?うまいらしいぜ」
「!?」
バッとベルフェゴールさんを見る。
ベルフェゴールさんは、にんまり笑った口から白い歯を見せている。

「な、ない」
「ないのかよ」
ツマンネ、とベルフェゴールさんがため息を吐いた。
そ、そんな。


「フランってさ…なんか、イコール蛙な感じじゃん」
まあかぶり物が蛙だからインパクトは強いよね。って、あれ?

それって、つまり、…。


「…なんか今飯食ったのに腹減ったなあ」
えええええ…



こわい。

びくびくする私をよそに、ベルフェゴールさんはニヤニヤ笑っていた。