似ても似つかないはずだったのに





「そろそろだろうね。君の計画を実行するのは…」
「はい。必ず成功させてみせます。だから…よろしくお願いします」
「ああ、僕も最善を尽くさせてもらうよ」

その後オスティアの城下町で物資を整え、全員が最終決戦へ向けて備えていた。一方の私はリムステラと兄さんへの思いから起こる葛藤と一人戦っていた。

守りたい人が、大好きな家族を奪った仇相手。たとえどんな決断を下したとしても、正論の無いこの判断を誰が非難するだろうか。

「ラガルト」
「ん?どうした?」
「ありがとう……。私を信じて、ここまで来てくれて」
「…そういうのは俺じゃなくてニノ達に言えよ」

彼がいつもとは異なりどこか寂しげだったのを心なしか感じた。この戦いが終わったら、ラガルトはどうするのだろう。元黒い牙の賞金首として追われてしまうのだろうか。

「だから、何でお前さんがそんな顔すんだって」

「貴方は……どうしてそう、人のことばかり……」
「良いんだよ。今は俺がお前の兄貴の代わりなんだからさ」
「代わりなんて…!そんな風に思ったことは一度無いわ!ラガルトはラガルトよ!」

名前には敵わないなと彼は笑った。本心が見えないのは、盗賊としての彼の本質か、故意で隠しているのかは判らなかった。
ただ、いつもと違う雰囲気に不安を感じずにはいられなかった。

「お願いだから、貴方は…兄さん達とウハイと、同じ道を辿らないで」
「ま、俺もお前の泣き顔を見るのは本望じゃあないからな」
「ラガルト……」

そう言って彼は私に背を向けた。その背中は兄さんのものと良く似ていて、ひどく切なくなった。忘れたはずの心の空しさが戻りかけ、私はその場に崩れた。

「名前さん…!」
「ルセア…」
「大丈夫ですか?どこか具合が…」
「平気よ……、心配しないで」

ラガルトの背を見てロイド兄さんを思い出して悲しみを思い出したなんて、ルセアには言えない。
しかし、誰かにいつも笑顔でいてほしいという気持ちは少しわかった気がする。私も、ルセアにはいつだって幸せでいてほしい。

「それなら良いのですが…」
「ごめんなさい。弱気なところを見せてしまって」
「いえ…名前さんがお辛い時に力になれるのは嬉しいですから」

その一時、彼の優しさが私の心のスキマに染み渡るような感覚がした。『人の痛みは人にしか癒せない。』マシューに言った言葉がまるで自分に返ってきているようだった。

私はこの世界の平和を勝ち取ると決めたのだ。心から皆が笑えるような、幸せな世界にすると。

「ありがとう、ルセア」
「名前さん、無茶はしないで下さいね」
「ええ、わかっているわ」

そして私達は再びファーガス海賊団にお世話になり、魔の島へと足を踏み入れた。
ニルスは相変わらず口数が少なく、エリウッド達はファーガスさんと話していた。




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