「今日は諸君等の意見も聞こうと思う。諸君等と腹を割って話をしようじゃないか」
董卓は柄にもないことを言う。

漢帝国の文武百官は皇帝をないがしろにするなだのとここぞとばかり正論らしき物を語る者。目の前の御馳走にしか興味のない者。董卓に追従する者に別れた。

馬鹿な奴等だ。
李儒は馬鹿の故事を思い出した。
ある権力者が鹿を差し「馬」と言った。当時の文武の官の中にそれは鹿だと言う者がいた。
その後権力者はそれを鹿だと言った連中を皆処刑してしまった。
独裁者に楯突く者の末路はそういうものだ。

董卓は漢帝国最期に相応しい暴君だったが、庶民の生活自体は良くなった。
古代中世の中華では暴君時代の方が庶民の生活が豊かになるという現象が起こる。
このからくりを簡単に説明すると。
暴君は政治家官僚の類いをクビにしまくり、犯罪者には厳罰を下すからである。
そうすると犯罪者と税金が減り、普通の人の生活が豊かになるのだ。
現在の日本でも、参議院も地方議会も消費税も住民税も要らねぇ、テロ?10式戦車があるだろ!的な内閣が誕生したらまぁ、一般人は良い生活できるでしょう。うちも後先考えずそういう政治家を全力で支持します。

ともあれ、董卓は漢帝国最期を彩るに相応しい暴君であった。

「ところで、車冑将軍の姿が見えないようですが?」
董卓は豪快に笑い飛ばし、答えた。
「車冑は皆で食ったではないか」

腹を割って話をすると言い、がちで腹を割って食ってしまう。流石は中華の歴史に名を残す暴君董卓。やることが違う。

そして乱入する兵士。
宮廷がまたしても血に染まる。
董卓のやり方に不満を持つ官僚連中の鮮血で。

- 12 -

*前次#


ページ:



ALICE+