一騎討ち


華雄は本気で強かった。
前線を突破したあと、あっというまに本陣に迫る。戦闘というものはまさにそのようなもので、崩壊は崩壊を呼び、恐怖は恐怖を呼ぶ。
袁紹はこの期に及んで緊急会議を開催する。
が、結論は出ない。

「あの華雄とかいう将軍を倒せば良い」
会議の結論はあっさり出た。
できれば一騎討ちで倒せれば良い。
華雄は一騎討ちに応じるだろう。
問題は華雄を一騎討ちで倒せる程の者がいるかどうかだ。

この状況で関羽は名乗りを上げた。
この一騎討ちで勝てば、金が貰える。その熱い想いが彼を奮い立たせたのだ。
貧困は辛いのだ。特に関羽のような巨漢は身体を維持するために飯も必要である。

ニート上がりの派遣オヤジという関羽の身分が問題となったが、現実主義者曹操の、
「肩書きなんざ適当につけてやりゃいいっしょ。勝てばラッキー、負けたところで自信過剰の派遣オヤジが一人いなくなるだけで、大して痛くない」
という意見が通った。

「関羽さん、武運を祈る。けど、命を大切に」
曹操は儀礼に従い水盃を差し出す。諸侯は関羽のような派遣オヤジに礼を尽くすのを嫌がったために、曹操がこの役を引き受けたわけだ。
形式上、関羽が敗れた場合、曹操に任命責任が来ることもこの役を引き受けたがる諸侯のいない理由でもある。

「ありがてぇ、けど、曹操さん、水は要らねぇ。酒が良い。酒宴の用意をしててくれ。用意ができる頃に首を持ってくる」

大言壮語の後、関羽は愛馬に跨がり、青龍円月刀を構え大見得を切る。
「行くぜ、青龍円月刀」
真一文字に戦場をかける関羽。

「あんたに恨みはないが金のためだ。多分あんたと同じでな」
キエー!
関羽が怪鳥のような雄叫びとともに青龍円月刀を降り下ろす。

華雄は関羽の一刀を受け止め、恐怖を感じた。
重い。
戦闘を続けてきたせいで疲れていたのだ。その上、関羽のこの怪力。

「貂蝉」
最期に華雄は恋人の名を叫んだ。

華雄は負けた。
関羽の強さと金への想いと死亡フラグに。



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