遷都


「華雄様」
現金掛け値なしの美女が華雄の亡骸にすがり付く。
美女と野獣の取り合わせというものは意外とありがちのようだ。まぁあれだ。動物は自分に足りない遺伝子を求めるものなのだろう。
それも名家の出身らしい気品と華を兼ね備えていた。

この期に及んで李儒は自分の痛恨のミスに気がついた。死亡フラグだ。完全に死亡フラグだ。

が、李儒が軍師で董卓が帝王である以上、いつまでも盟友の死を悼んでいるわけにもいかない。
「逃げましょう」
「李儒よ、この董卓に敗北の二文字はない。これは転進だ。敵のいない場所に進撃するぞ」
「は!全軍行軍開始」

敗戦の混乱の中、董卓は極一般的な作戦を取った。戦線離脱。
が、ここで董卓はとんでもない命令を出したのだ。
「が、敵に戦利品を残すんじゃねぇ。転進だ!野郎共」
そのとき、董卓は旗揚げの頃の野蛮人の親分らしい声を上げた。

洛陽を捨て、一路長安を目指す董卓一向。
炎上する洛陽の都。
そう炎上。

逃亡の際、自陣に火を放つこと自体珍しくはない。が、問題はそこが首都であり、民間人も多数住んでいたことである。
遷都は大変である。
日本ですら、明治維新のゴタゴタで京都から東京への遷都の手続きが微妙で、まだ京都が首都という説がある有り様だ。
ここで董卓がやらかしたことは彼を三国志の悪役と決定的にしたと言える。


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