敗戦
焼け野原と化した首都洛陽。
中国史上遷都自体珍しいことではない。が、首都を焼き払って短期間で強引なこの遷都。
阿鼻叫喚の地獄絵図がそこにある。
そして少年が一人、曹操の腕の中で息を引き取る。
怒り。
曹操のそれは董卓という稀代の魔王に対してだけ向けられたものではない。
これほど多くの諸侯がワラワラ軍を率いて集まったにもかかわらず、首都を灰にすることを防げなかったことに、そして今でも董卓を追撃しようとしない諸侯の平和主義に。
そして、それに付き合い何も出来なかった自分に。
「許せねぇ」
曹操は馬に跨がり走らせる。
「止めねぇのか?惇兄、阿萬を見殺しにするつもりか?」
「それは軍師郭嘉の仕事じゃないのか?」
「まぁな。けど俺はああいう阿萬が好きでな」
「奇遇だな。俺達もだ」
「なら、俺達で阿萬を守るぞ。惇兄、悪来行くぞ」
仲間達だけが曹操を追う。
怒りに任せた無謀な行軍。敗戦はわかっていた。
「劉備さん、悪いが先に行ってくれ。俺は野暮用がある」
関羽が愛馬を走らせる。
並走する劉備と張飛。
「なぁ関羽。ダチを助けに行くことを野暮用とは言わねぇ。あの曹操ってのを助けたいんだろ?」
男らしい笑顔だった。
「劉備さん、将軍として迎えられたんじゃないのか?」
劉備一向はまたニートに戻った。
当然敗戦。
が、曹操自身は仲間のお陰で生き残る。
後に曹操は自らのブログでこの敗戦をこう語る。
「敗戦で得るものもある」
- 20 -
*前次#
ページ:
ALICE+