古橋くんは能面下衆野郎な話


「幼い頃両親が事故死するも大きな遺産を残され醜い大人達から金づる扱いを受けたがただ一人だけ優しくしてくれた叔母の元に自ら望み養子に入ったしかしそれは罠だったのだ所詮金目当て養子入りが正式に決まった夜ついに化けの皮が剥がれた叔母が幼子を納屋に閉じ込める「叔母さん開けて」悲痛な声は吹雪の中に消え行き信じる者に裏切られた幼い心はその夜氷像のように脆くも砕けたそして古橋は表情をなくしたのだった………くらいの過去がないとその能面フェイスと下衆精神に説明がつかないんだが」

一息で言いきった俺の壮大な妄想を、まだ死んだ魚の方が生き生きしてそうな眼をして古橋は聞いていた。
マネージャーやってるくらいだからバスケ部の部員は嫌いじゃないけど、純粋にゲスのあつまりだと思っている。その中でも人間としての情緒が著しく欠落してそうなツラをしている古橋には、妄想以外ににも何か辛い過去でもあるのだろうか。と、好奇心から聞いてみた。俺もゲスなので人の傷口に荒塩塗り込もうが気にしない。抉ってレモン汁かけるくらいの心意気じゃないと生き残れない修羅の国。それが此処だ。

「そこそこ裕福なサラリーマンの次男として優しい両親と穏やかな姉に見守られ育った」
「家族に謝れ」

真心込めて出来た結果が能面ゲスとか家族が可哀そう過ぎる。「家では良い子だ。風呂掃除するし」とか言ってるが、それなら俺だって庭の水やりやってるし超良い子じゃん。花宮だって犬の散歩してるし、原は皿洗ってるし、瀬戸は弁当自分で作るし、ザキは何もやってないからあいつは真正のクズだ。


「次男ということは兄に虐げられた過去でもあるのか」
「年が離れてるから物心ついた頃には家を出てたが可愛がられた記憶しかないな」
「表情筋死んでる系の病でも患ってんのか」
「小学生の時両親が心配して病院まで行ったがなんの問題もないぞ」
「古橋笑えんの?」
「任せろ」

いないいなーいと両手で顔を隠し、しばし下を向いている古橋の後頭部を眺めてタピオカミルクティーのタピオカ部分を咀嚼する。このタピオカは飲むのではなく食べるもの。それが俺のジャスティス。

「ばああ」

絵にかいたような、満面の笑みの古橋がそこにいた。


「ぎゃああああなにそれこわいそれなにきもい!?!」
「古橋スマイル。見たものは死ぬ」
「うわあああああ!!!」
「だから封印してるんだ」
「お前それよくメールで入れてくる顔文字と一緒じゃねえか!暗に死ねって言ってんのか八つに裂くぞ!」


自分の携帯を開き、古橋から来た最新のメールを開ける。




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能面ゲス
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Re.re.re.re.
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名前、正直に言え
俺の白いたいやき
食べたろ(^ν^)


殺すぞ(^ν^)
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あ、既に殺害予告だった。




「顔が疲れる」

死んだ魚の眼に戻って自分のほっぺをぐにぐにしている古橋を、謝罪の気持ちを込めて手伝う。30秒後に殴りあいになり、その2分後に花宮にホースで水ぶっかけられてふるえながらシャワーに向かう俺達がいた。うちのボス容赦ねえです。


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