イギリスさんと俺と変態
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「名前じゃないか!」
凄まじく爽やかに親しげに語りかけてこられて、咄嗟に「お久しぶりです」と返してしまった。
俺、根本的なところがじーちゃんそっくり!
「こんな陰気くさい湿気ったとこじゃなくてお兄さんのとこに来なさい!
名前の為だったら裸エプロンで手料理してやるぞ」
「あ、ありがとうございます?」
「なぁーに、俺と名前の仲じゃないか!そういえば日本は元気か?」
「相変わらずです」
「相変わらず二次元に夢中か!」
なんだったら俺が三次元の良さを教えてやろうか?はははは! マシンガントークで親父臭い台詞を連発するこの男性。
……誰だっけ?
向こうは俺の事を知ってるし、じーちゃんの名前を出したから、たぶんこの人もじーちゃんの友達だと思われる。
だが、記憶にない。
日本人特有の曖昧な受け流しで話を繋げてみても、この顏に覚えはない。
困ったなぁ。というか、なんでこの人じわじわと服を脱ぎだしてるんだろう。
て、ちょ!俺、壁際に追い込まれてる?!
「落ち着いてください!紳士の国で何やってるんですか!張っ倒しますよ!」
「こわくないこわくない……」
「純粋に怖い!殴っていいか?!」
リアルな変態さんだ!!はぁはぁ言ってる!
とりあえず殴ろう!! と、一歩後ろに足を引いた瞬間。
音で表すなら 『ドグシャァッ』 だろうか。
最大音のソレが、光の速さで変態をすっ飛ばした。俺の視点より高くに飛び蹴りをかます残像が!
「くそったれがああああぁぁあああ!!!」
「イギリスさん?!」
「この下種野郎!ネス湖に沈めて八つ裂きにしてやるこの野郎がぁああ!!」
「ストップ!ストップイギリスさん!それ以上蹴ったら死ぬよ!!」
「うわああ離せぇええ!こいつはやっちゃいけない事をしたんだ!うわあぁあああ!!」
後ろから羽交い絞めにしてみたけど、さすがイギリスさん。どんな体制になろうとも蹴り続けている!ピクリともしてません!本気で殺す気みたいです!
「仕方ない、とうっ!」
「うっ?!」
我が祖父直伝の手刀で意識を奪い、倒れたイギリスさんを支えた。
もう、意味が解らない。
普段紳士的なイギリスさんは前後不覚になるまで大暴れするし、この全裸の血達磨変態は史上稀に見る変態だし。
「……あ」
「ねー、じーちゃん。あの人なんで裸なの?」
「しっ!見ちゃいけません。取って食われますよ」
「こわっ」
「ええ、怖いのです。フランスさんに会ったら眼をあわす前に逃げなさいね」
「はーい」
「フランスさんか……」
俺がまだチビの頃、じーちゃんの仕事の関係で外国に行きまくってたときに何度か会ってた。その度にじーちゃんが俺に目隠ししたから、知らないわけだよ。
いつも素っ裸な人っていう感想しかなかった。
じーちゃん。
じーちゃんの言うとおりフランスさんは変態さんでした。
「どうしよう、これ」
イギリスさんは介抱するとして、この素っ裸はどうしようか。
このまま放置するのも可哀想だしなぁ。
助けてじーちゃん。
スピリチュアル的なものに期待してとりあえず現実逃避をしてみた。
マジで早く日本に帰りたい。
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