ザングース の かぎわける こうげき !


ザングースは初心にもどることにした。
もしかしたら行き違いになっているかもしれない。きっとそうだ。そうに決まっている。一旦育て屋に戻ると言うと、Nは困ったような顔をぎこちなく作って「そうかい」とだけ言った。そして育て屋まで送ってくれるのだから、良い奴なのだろう。こんな時じゃなかったら、きっと心底そう思えたのだろうが、いろいろあってささくれだっている心では変に意固地になってしまい我ながら態度が悪い。主人が帰ってきたら、一緒に頭を下げるのもやぶさかではない。
育て屋に向かう手前で、空からでは変に悪目立ちしてしまうからと徒歩になった。途中の森は、主人とよく歩いた森でもある。そういえばここでノミをもらった時があった。あれはとても嫌な思い出だ。

イライラもやもやしながら不機嫌に歩いている時、ふと、知っているにおいがあった。

風に乗って流れてくる微かな、かすかなにおい。

全身の毛が逆立ち、しっぽが膨れる。

顔を上にあげてふんふんとにおいの出処を探った。心臓がドキドキしてワクワクする。



『いた!』


主人のにおいがする!






ザングースが走った先には主人のコートがあった。毎朝コートについているザングースの白い毛を丁寧に取り除いて、主人は仕事に行くのだ。真っ黒くて洒落たコートは主人にとてもよく似合っていたし、それを着ている主人はとても優秀そうに見えた。家ではあんなにグダグダなのに、キリッとした雰囲気になるのでうまく化けれるものだなあといつも思っていたのだ。しかしそのコートが石で出来た十字架に引っかかっているのかはよくわからなかった。わからないことにしていた。わからないふりをしていた。わからないというながれにもっていこうとしていた。わからないというせっていでいこうとしていた。わからなくていいことだとおもいこんだ。わからないはずだといいきかせていた。 ザングースはとても賢かったので、本当は全部最初からわかっていた。


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