朝
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そのあとに布団を捲って足元を見る。ああ、またか。
「どうしてオスなのにたまごを生めるんだ?」
硝子を爪で引っ掻くような声をあげながら、俺の相棒であるヨノワールは「知らない」とでも言うように首を傾げた。というかそこ首なのか? 腹にある亀裂が口なら首はどこだ? いや、考えたら余計混乱しそうだ。やめておこう……。
俺の足の間には、子供が一抱えして持てるような大きさのたまごがあった。
ヨノワールのたまごだ。
この家のポケモンはヨノワールだけなので、それ以外の選択肢がない。一応聞いてみたが、「お前のたまご?」の問いに深く頷いていたのでたぶんそう。
基本的にヨノワールとの交流はボディランゲージの返答で行っているので、今更突然裏切ったりしないだろう。
ボールからだして自由に過ごしているが、外でよそのポケモンとつがいになっている様子はない。ここらへん、ゴーストタイプは少ないし、そもそもこいつはオスだ。
といっても、ポケモンセンター曰く。オスがたまごを生むのは非常に稀だがあり得ることらしい。つまり、こいつはそういう体質なんだろう。
いつものようにたまごを抱えて流しへ運ぶと、ヨノワールは俺の後ろ斜め上をふわふわと付いてくる。
「朝ごはん作る前に処分するから待ってろって」
歯ブラシの横に不釣り合いなハンマー。それを握って、一思いに叩きつけた。
ガシャン
殻が割れて透明な中身がこぼれていく。すこしだけ血のような赤が混じっているから怖いんだよなあ……。
うへぇと情けない声をあげながら、汚物用の黒いごみ袋に殻を詰める。隠して捨てないと、ポケモン虐待者として通報されてしまう危険がある。俺だってゴミ捨て場に叩き割られたたまごが入ったごみ袋をみたら通報する。ポケモンセンターに持っていけば適切な処分をしてくれるらしいが、頻度が多すぎて妙な噂を立てられそうだ。
当のヨノワールといえば、自分のたまごが叩き割られてもどこ吹く風といった調子でふらふらふわふわしている。冷蔵庫のほうを見ているので、たぶんおなかが空いているのだろう。
「今作るから待ってろって」
一つ目だけで器用に笑って空中で一回転。まったく、こいつは手がかかる奴だ。
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