○とばりがおちる




「ナマエ、解除薬飲めよ。吐いても喚いても僕が押さえつけてやるから」
「んん……もう少し、このままでいいよ」

俺がそういうと、デュースは灯りを消した部屋の中でも分かるくらいの勢いで表情を歪めた。この優しい幼なじみはちょっと過保護だ。ミドルスクールで俺が酷い目にあったことを、自分のせいだと思ってるから。


「デュース、俺、惚れ薬飲んで気付いたんだけどさあ」
「うん」
「あの子のこと、好きだったみたい」
「うん……」


ミドルスクールの頃、仲良くしてた子。明るくて無神経でわがままで元気。ちょっとトラッポラと似てる。
俺をからかうために嘘の告白してきて、俺がそれを看破した腹いせに人の部屋中に香水ぶちまけて帰って行った酷いやつ。

惚れ薬を被って、トラッポラを見た時に、覚えのある感情でいっぱいになった。



これが恋だったんだって、ようやく気付いた。




「ごめんな、ナマエ」
「デュースは悪くないでしょ」
「あいつ、僕のこと嫌いだったから。僕のことを攻撃するために、ナマエに手を出したんだと思う。ナマエが僕の幼なじみだから……」
「いいんだよ。付け入る隙があった俺が悪いんだから、デュースちゃんは泣き虫でちゅねえ」
「ばか」

デュースの頭にシーツを被せてぐりぐりと撫でまくる。中から小さく笑い声が聞こえて、静かになった。
お互いに小声で「おやすみ」って言い合って、目を閉じる。




最初の恋は恋だと気付かなくて、トラッポラには誰かの影を見ながら恋をして、俺はまともに人を好きになることも出来ないんだなあって、少し悲しい。


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