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誰も来ないロッカールームで頭を抱えながら「は?」って繰り返してても、現実は変わらない。分かってる。はぁ? オレ、ナマエのこと好きじゃん。オレのこと大事〜〜って眼で、宝物見る眼で見てくる顔、すげえ好き。ナマエの一番になれたらすっげえ幸せだろうなって、今後そういう奴がこの世に発生するわけ? オレ以外の誰かが? って思ったらゆるせねえって気持ちになった。オレのなのに!って。オレのじゃねーのに。

オレのじゃないなら、オレのにすれば良くね? 今実質フリーだろ。

スマホを出してナマエに『明日暇?』って送る。直ぐに既読がついて『暇だよ』ってくる。この反射神経も、ナマエがオレのこと好きで優先してくれてるからだろ。まだ惚れ薬の効果あるから。じゃあ今のうちに、重ねて惚れさせれば良くねえ? からかってるって思われないように、オレが優しいからって信じさせて、惚れ薬の効果なくなってもオレのこと気になって仕方なくなるくらい。好きにさせたらオレの勝ちじゃん。

デュースに睨まれてたおかげで、地雷みたいな行動はしてないしワガママもそんなにやばいのはしてない。はず。


『明日デートしよ。今度はオレがエスコートしてやるから』

入力中の文字が何度も行き来して、たっぷり3分かけて『うれしい』だけ返ってきた。……かわいい。すき。

1回好きって思ったら、全部良い感じにしか見れない。最初のデートの時、ナマエってずっとオレが楽しめそうなこと考えてくれてたの、優しくて好きだ。見たことない映画の、続きもん。1作目も見てないのに高い金払って、オレが好きそうってそれだけで付き合ってくれた。そんなに話したことのないクラスメイトの趣味を一生懸命考えてくれたんだなって。愛しい。

部屋に招いた時も、オレのベッドに入るの遠慮してあたふたしてるところとか、可愛かった。オレのことが好きだから、逆に気軽にこれなかったってやつ。紳士的でいいと思う。据え膳って来られたどん引いてこういう風に好きだって気持ちにならなかったと思うし、ナマエがオレのこと大切にしてくれたのが悪いと思う。
もう少しガツガツ来て、気持ち悪いやつだったら好きになんてならなかったし。ずっと優しくて紳士的でオレのこと好き〜大切〜って眼で見て、じゃあオレだって好きになっても仕方ないだろ。オレは無罪。

部活の時間、よりにもよって今日はやる気だったフロイド先輩がラフプレータックルばかり仕掛けてくるから「明日! デートだから!! 顔だけはやめて!! ボディにしてください!!」って叫びまくった。これドッヂボールじゃねえから! オレの顔面セーフって訳じゃねえから!!


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「デュースくうん」
「やるか」
「なんでだよ!」

部屋に帰って、ベッドで雑誌を読んでるデュースに猫なで声で話しかけると速攻でファイティングポーズを取られた。お前のその闘志なに!?

「ナマエのこと好きになったんだけど」
「武器は無し。ステゴロでいくぞ」
「なんでだよ!」

拳と手のひらを打ち合わせるな! オレも一応防御の構えとるけど、だからなんで! 恋バナじゃん! フロイド先輩でさえ「え〜〜[V:9825] 誰とデート? 両想い??」って武器(バスケットボール)おろしてトークに移行したぞ!


「マジで好きになったの! だから話聞けって!」
「……本当だな?」
「ほんと!」
「嘘だった場合、僕は大暴れするけどそれを理解しての『ほんと』でいいんだな?」
「だからあ! デュースとナマエのその関係なに!? 幼なじみにしては過保護すぎるだろ! 嫉妬するからやめろ!!」

あ、嫉妬だ。

ナマエとデュースが一緒にいて、オレのわかんない話して、2人きりで秘密の会話みたいに楽しそうに話して、ナマエがオレよりもデュースの前で楽しそうに笑って、全部ムカついてたけど、あれって全部嫉妬だった。じゃーオレ、いつからナマエのこと意識してたんだよってはなし。ほんとちょろくて、我ながらびっくりだ。


「……ナマエのこと、好き、だから。協力して」

恥ずかしくなってどんどん小声になって、しゃがみこんで両手で顔を隠した。あーーもう、デュース相手に恋バナって難しくねえ!? でもこいつ、しっかり話とかねえとすげえ厄介な敵になるタイプ!
喧嘩とかだと頼れるけど、恋愛カンケイでデュースってマジで役立たずになりそうなのに、相手がナマエだから言わないでおくと過保護発症してすげえ邪魔してきそうだからあ!


「え、本当に好きなのか」
「……言ってんじゃん!」
「どこが好き?」
「……優しくて、オレのこと一生懸命喜ばそうとしてくれて、オレのこと見る眼が好き。惚れ薬の効果、なくなっても、オレのこと好きでいて欲しい……」

オレが途切れ途切れに言うと、デュースは満足そうに「まあな」と言った。「ナマエってそういうとこあるから、惚れても仕方ないよな」って。お前ほんと何目線だよ。ママ?


「惚れ薬の効果ってあとどれくらいで消えるんだ?」
「明後日……」
「急すぎる! 今まで何してたんだ!」
「仲良くしてた……」
「それはそれでいいか」

とりあえず、ナマエの好きな物とか趣味とか教えてって頼む。胸を叩いて「任せろ!」と言われたので信じる。

とりあえずで出されたゲーム、『マジカルプリンセス!〜恋の予感は蜜の罠!?〜』って書かれたパッケージに女の子が何人か描かれてるやつ。これほんと信じていい? これが好きなの? 別に引かねえけど、ほんとに信じていいんだな?? やるわ。


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