堀川が一人遠征失敗したはなし
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どうも優秀な審神者マンです!!最近疑われているらしいけど、ガチめに優秀な審神者なので上記の制度を利用することが出来るのだだだだ。
学校の勉強とか寝ずに聞いてて宿題をちゃんとやって長期休暇中の希望者補習に積極的に出ていくタイプ。つまりお勉強好きは普通に優秀な審神者扱いされるんだよ?真面目に生きてれば少なくとも政府は認めてくれるの。霊力足りない勢もぐだぐだ言ってないで積極的に講習会行こうね!
とは言っても現世に遠征は最高で五時間までだし、向こうで仕入れたいものを俺が忙しい時に代わりに買いに行ってもらったり、そういう感じでこの制度を利用している。
「お前らも万屋に売ってないものでほしいのがあったら、俺が許可出すから遠慮なく言えよ」
「はい、マカデミアンナッツが欲しいのでハワイに行きます」
「ごめん言い直すわ、宗三以外で現世行きたいやつは遠慮なく言えよ」
「差別だ」
宗三も【高練度】という条件には当てはまってはいるが、あいつはだめだ。何かしでかす。マカデミアンナッツが欲しかったら次郎のところにいって?ナッツ系のつまみの中に混じってたはずだから。
「あの、僕が行ってもいいですか」
「お、どうした堀川。何か欲しいものがあったか」
「昔の雑誌なんですけど、バックナンバーを取り寄せたいんです」
珍しくおずおずと手をあげたのは堀川だった。「あの、これなんですけど…」と照れ臭そうに笑いながら、ごっついロックバンドの雑誌を持ってお目眼をキラキラさせている。…最近、和泉守がぎらぎらのシルバーアクセサリーをつけていたのはこれが原因か…。和泉守の趣味ではないようで、悲しげな眼で俺に助けを求めてきていた。お前の助手だろなんとかしろ。
「わかった。堀川の他にはいないか?…いないみたいだな。じゃあ、お前の非番の日に申請を出しておくから準備しておけよ」
「はい!」
こいつなら問題ないだろう。
俺は特に何も考えずそう思い込んだ。 「それがまさかこんなことになるなんて」「突然横から現れて不吉なプロローグつけるのやめてくださらない?」 宗三の頬を全力で抓りあげながら話を流した。それがまさかあんなことになるなんて。
数日後、堀川が外出に出る日はあいにくの雨だった。
基本的に雨の日は休みで梅雨は海外バカンスと決めている当本丸では個人で傘を持っているやつはほとんどいない。乱の日傘じゃ何も守れないだろうと、百円均一で購入し10年使っている俺のビニール傘を貸して五時間。
「いってきますね」と笑顔で現世遠征に向かった堀川を見送って五時間。
「かかかかかえってこないんだががががが」
「なんですか主、全身を使っての貧乏ゆすりはやめてください」
「うるさいお前が不吉なプロローグいれるから?!!!?俺の大事な脇差がかえってこねえんだよ震えもするわ!!!!?五時間だぞ五時間!!ミスドでドーナツ100個買ってきてって岩融にお使い頼んだ時でさえ3時間で帰ってきたわ?!!?」
「なんて酷いお使いを頼むんですか。お店の人に迷惑でしょう」
「うん、反省してる。岩融も5店舗くらい行脚したっていってた」
ガチで帰ってこない。あの堀川が一切連絡すらいれてこない。
刀剣男士は同じ刀の分霊が何本もある為、現世では認識逸らしの術がかけられている。
そこにいて会話もできるけれど、記憶には残らない。たとえ同じ分霊が同じ場所にいようとも、一般の人間はそれに気が付かない。ある程度霊感があれば話は別だが、基本的にそのようにできている。そこから導き出されるこたえ。それは――――
「車に轢かれてたらどうしよう!??ぶっ倒れてても認識阻害かかってるから見つけてもらえねーよコレうわあああああ堀川――――!ごめ―――ん!!俺が迂闊だったばかりに―――!!!?」
「そうだね。最近調子に乗って気が緩んでいたのは確かだ」
「びえええええええええ!!!?!」
青江が俺に優しくとどめを刺してきたので、俺は全力で倒れ込んで嗚咽をあげた。
この際こいつでもいいと宗三の膝に縋ってビエビエ泣く。泣きながら片手で堀川につけた霊力探知機をパソコンの画面に表示するが、あいつがいる筈の新宿の地図上に表示されない。もう少し範囲を広げると新宿から離れた町田方面に現在地が表示された。どういう事だ。
「ああ、ここパンケーキがおいしいんだよ」
「僕は駅前にある磯丸が好きですね、数年前に主と行きました」
「二十四時間営業の酒場だっけ。もう少し先に進んだところにある古本屋さんも好きだなあ」
「あの、入るときに荷物を預けるお店ですか。万引きに対する警戒と殺意が好ましいです」
「そういう理由で預かっているんじゃないんだとおもうけど…」
「ねえ!堀川の話!して!!!!」
町田の好きなところトークしないで!!俺の行方不明中の大切な脇差の話しよう?!!ねっ!!?
宗三が膝の上に乗せている俺の頭を鷲掴みにして頭皮マッサージをしてくるので、仕方なく起き上がる。
とりあえず堀川の現在地は路上ではない。ああ、轢かれた脇差なんていなかったんだ…。そういう事ですね信じます!!
「これは…長屋、かな」
「一人暮らし用あぱーとという物でしょう。駅近ですが築年数は古そうですね。管理費込みで5万5千円ってところでしょうか」
「一人暮らしのアパートに堀川連れ込んで何する気だあああああ!!!!うっうっうっ、刀剣男士の顔の良さが、免疫のない一般人の心を惑わせたんや…。俺が箱入り脇差に育ててしまったせいで、堀川は変な男に引っかかって…」
再度泣き崩れる俺の肩を、青江は優しくポンと叩いた。
「現在地わかってるから鳩を飛ばして戻しなよ」
「あ、それな」
『くるっぽう』と鳩に獲物のように鷲掴まれてぐったりと帰ってきた堀川に駆け寄り、なんかこう乱れた雰囲気はないかのチェックを行う俺を、山伏とまんばちゃんは少し離れた位置から見守っていた。心配ではないのか貴様ら!と聞けば「血まみれじゃないから誰も殺してないんだろう」「カッカッカ!兄弟はやんちゃであるからな!」と流された。あ…そっすね。そういえば堀川って兄弟の中ではまんばちゃんの次にキレやすかった。
「ごめんなさい、主さん…」
「なにがだよ」
びしょびしょの堀川をタオルで拭いていると、小さく謝られた。
申し訳なさそうな上目遣いでこちらをみてくるが、謝られるようなことをされた覚えは新宿から町田への謎のワープしかない。
「傘を、盗まれちゃいました」
「はあ!!?!!あんな傘よりお前の方が億倍大切ですけど!?!傘と堀川が崖から落ちそうになってたら迷わずお前を助けるわ!!?!ビニ傘は盗まれるもんなんだよ気にすんな阿呆!!あ―――無事に帰ってきてよかったちくしょ―――!!!さっさと風呂入って和泉守にゲンコツされろ!!!!」
あいつも相当心配してたからな!めたくそ怒られてしまえ!!
どうやら、新宿の店で傘を盗まれて傘についていた俺の霊力を辿ってパクったやつの家まで追跡していたらしい。
かえしてくれと言っても聞いてもらえず(たぶん、認識逸らしが効きすぎたのだろう)、しまいには目の前で傘をぶち折られてビックリしたらしい。なんで折るんだよ・・・クレイジーなやつだな・・・。
とりあえず、一般人に迷惑をかけてしまったらしいので今度謝りに行こうと思う。
それにしても、無事でよかった。
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