【四夜】
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未来ある有望な青年が一人。自己評価が低く、けれど優しい青年だった。
自分の価値を他人の評価でしか認める事の出来ない。それでも心底、優しい青年だった。
信じていれば正しく生きていれば、与えられた仕事をこなして、毎日毎日誰かに謝り続ける日々を送る青年だった。彼は必死に生きていたけれど、彼は人並み以上にはなれない。どこにでもいるような、何の罪もないその他大勢のひとりだった。
褒められたい認められたい自分を見てほしいこんなに頑張っている自分を見て、よくやったねと褒めてほしい。君は頑張っている。僕はそれを知っているよと、言ってほしかった。誰かに認めてもらえないと、青年は生きてはいられなかった。だから毎日頑張って、頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って誰も彼を誉めてはくれなかった。なので、青年は生きていけなかった。
風船は割れてしまった。ミルクは零れた。こぼれた水は二度と盆には還らない。きっかけはとても些細なもので、彼の近侍が書類の誤字を伝えた。ただそれだけの事で青年は激高し狂乱した。満たされなかった自己肯定感は、他者へ求め、与えられなかった評価は、己を認めない者たちへの憎悪に繋がった。信頼も愛情も憎悪に塗りつぶされた。何年もかけて濃縮された負の感情は、呪いと成った。
「死ね死ね死ね死ね死ね死ねお前なんて死んでしまえ!!お前なんて大嫌いだ死んでしまえ早く死ね!!」
ボキリと、何かが折れた。折れながら、死を望まれたソレは青年を抱きしめて何かを言っていたような気がする。「きみを守れなかったみたいだ、すまない」男にはそう聞こえたが、狂乱する青年の喚き声に全て掻き消えた。
いつの間にか男の横にいた歌仙兼定は、薄く笑った。
「僕は、言わなくても伝わると思っていたんだよ。だから彼に、なにも言ってあげられなかった。何のためにこの口が付いていると思ってたのやら…。まったく、愚かだろう?」
「事情を知らなかったなら仕方ないんじゃないか」
「それは言い訳だ。僕はもっと、彼を誉めるべきだった。彼はね、風流のわかる良い男なのさ。……さて、そろそろ謝りに行こう。年長者から頭を下げて、円滑なにんげんかんけーというものを築こうじゃないか」
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