そとにはわるいひとがいる
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だらしなく卓袱台に突っ伏す俺に、刀達がひっきりなしに囁く。
「俺達は君が大好きさ。君も俺達を愛してくれているだろう?
知ってるよ、言葉は必要ないなんて、知識人ぶった臆病者の言い訳でしかない。言葉は必要、有用さ。君が飽き飽きするくらい言ってもまだ足りない、大好きだ。君は俺たちの、俺の大切なにんげん。ずっと一緒にいておくれ」と、鶴丸が言う。
「あの刀は少し言い過ぎです。僕は貴方のことを、ちょっとだけ気に入ってるだけですよ。あまり調子に乗らないで下さい。天下人の刀である僕に、ちょっとだけでも好かれているなんて大したものですよ。自慢しては如何です? ほんのちょっと、これくらい、好きなだけです」と、宗三が笑う。
「向こうは危ないからここにいろよ。ダメ刀の側はいられないってか?あ?」と不動がクダを巻き、「ぬし様はこちらに、外はあぶのうございます。小狐を愛でてくださいませ」と小狐丸が甘える。
「外はだめだよ」「ここにいて」「あなたが好き」「外は危ない」「側にいて」と、刀達が囁く。
――ああ、そうだ。外はとても危ないんだ。どこにも行かないよ。ここにいる。
そう告げれば、一番近くにいた鶴丸はにこりと笑った。そういえば最近は万屋に行こうと言わないな。週明けには新商品が出るからと、用もないのに冷やかしに行くのが趣味だったのに。
「良いんだ、君さえ無事なら。ここにいてくれるならいいのさ」
どんどんと、門を叩く音がする。
「聞いては駄目だ」
どんどん、どんどんと、音がする。閉じられた屋敷、門の外から俺の名を呼ぶ声がする。現世で捨てた名だ。
「ああ、懐かしい名前だ。誰が呼んでくれているんだろう」
懐かしくなって、そちらへ駆ける。「駄目だ主!行くな、行かないでくれ!」静止する声にすぐ戻ると空返事。
「守ってあげると言ったのに」
だれのこえ?
目が覚めたとき、俺は病室のベッドの上で、全てを失っていた。
ああ、ああ、ああ――。守って、もらっていた、のに。
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