のろいのはなし


「まただ!」鍛刀妖精が出した完了時間を見て、つい悲鳴のような声が出た。
 現在、政府がたまに出す『鍛刀キャンペーン』真っ最中だ。今回は三日月宗近がいつもよりも出やすくなるらしい。
 まだ審神者になって日が浅いから、俺の本丸には刀が揃っていない。初期刀の歌仙が最高練度で短刀や脇差しを引っ張ってくれているけど、太刀や大太刀も欲しい! 正直言えば薙刀も槍も!
「ちくしょう、一時間半の呪いだ!」
 何回やっても何回やっても、できあがるのは打刀! 資材の配合が多い分、短刀は弾かれているけど打刀の比率がえげつない。
このままだと、今いる刀の維持用資材もなくなってしまうかもしれない。ここでやめておくべきか、それとも最後にひとつ大きな配合で賭けてみるか。
 なあ、どうしようか。そう聞こうとして振り返ると、歌仙が酷く悲しそうな顔をしていた。
「ど、どうしたの?腹でも痛いのか?」
「……大丈夫だよ」
「全然大丈夫な顔してないじゃないか!」
 気が強くてプライドの高い歌仙が、虐められた子供のような顔をするなんて、大丈夫な点が何一つ無い! 揺さぶって真意を問えば、ひとつ深くため息を吐いた。
「僕も、『一時間半の呪い』の刀だからね。どうか彼が歌仙兼定では無いように願っていただけだよ」
 泣きそうな顔で無理矢理笑おうとして失敗している。歌仙の言葉で、俺はどんなに無神経なことを言っていたのか自覚して血の気が引く感覚に襲われた。
「僕達は君に会いたくてこの形で生まれるから、そうだな……。
親に、『お前を生んで失敗した』と、言われるような感じさ。
……いやな気分にさせてしまったね。僕の事は気にしなくて良いから、鍛刀を続けよう。今日は次でおしまいだよ」
「ごべんなさい、そんな気はながった」
「うわあ汚い顔をして。良いんだよ、悪気は無いのはわかっていたさ。僕は特別、こういうのが気に掛かるというだけだよ」
「もう言わないから嫌いになんないでぇ……」
「ならないよ、ほらチーンして」
 それから先、俺が泣き崩れて鍛刀どころではなかったので済し崩し的に終了となった。軽い気持ちで言った言葉が他人を傷つける事もある。小学校の道徳の時間で習ったことすら、身になっていなかった。反省しか出来ない。うなだれる俺に、歌仙は幼児にやるようよしよしと撫でてきた。早く立派な、頼れる審神者になりたい。


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